青春の入り口には必ず何かあるはず前編
どこかの青春映画にでもでてきそうな見事なピンク色の坂をのぼった先に品口東高校はある。
太一の住んでいる品口町には三つの学校しかない。
一つは私立の成績優秀、地域からの評判も良くお嬢様、お坊っちゃま達の多い品口西高校
一つは公立の教師でも手のつけられない不良学校でバカしかいない品口中央高校
そして私立で成績はそこそこ、地域の評判もそこそこの金さえ払えば誰でも入れるTHE普通校、太一の通う品口東高校だ。
校門の前にたった太一は学校の大きさに圧倒された。それもそのはずこの学校には校舎棟、部活棟、体育館、プール、テニスコート、特別強化棟がある、なぜこんなに大きいのかというと彼の住む品口町はそこそこ大きな町だ。その中の高校生達は三つのどれかの学校に入るのだ。頭のいい奴は西高へ、普通の奴は東高へ、バカな奴は中央高へ行く。だから必然的にマンモス校になってしまうのだ。東高校は全校生徒900人、一学年300人もいる。
まず太一は校門を通り校舎棟の一年生の靴箱に行く。周りにはちょいちょい知っている顔もあるが大部分は知らない顔だった。
「ええと、渡辺...渡辺...あった」
なんとか自分の靴箱を見つけた。
普通、渡辺という名字は出席番号の一番後ろなので簡単に見つかるはずだったが、この学校には渡辺が自分を含め四人もいたので、いつもより探してしまった。
そして上履きに履き替え一階の一年生のフロアへ行き廊下に貼ってあるクラス分けの紙を見ることになった。
他の生徒が見ている中にはいり自分を確認する。
なにせ十組まであるのだ、先にプリントとかメールとかで教えてくれてもいいじゃないかと、太一は思う
クラスは一組だった。太一は少し嬉しかった。
一組の教室は入り口からもっとも近いのだ。
それに、一という数字も良い。なんだかこの学年のトップになったかのような気分を少し味わえるのだ。ナンバーワン。フフッと太一は嬉しくなり一組に後ろのドアから入った。
ドアを引いた瞬間に一組のみんながこっちを見た、がすぐに顔を戻した。この緊張感の中指定されていた席に座った。席は教室の入り口から一番遠い窓際の奥、つまり陰キャラポジションである。
みんな本を読んだり、このあとの行事予定を確認したりと各々が好きなことをしているようだ。隣の席の女子はケータイをいじってるし、前の席の奴は難しそうな本を読んでいる。太一も本を読むことにした。本といっても転生モノのラノベだけどな。
しばらくして教師が入ってきた。でもこの教師がすごかった。まず身長180はあるであろう高身長、そしてシャツが張るぐらいパンパンに鍛えられている腕、形がわかりそうな胸筋、とにかくゴツい。そして極めつけの顔、ヤクザかと思うぐらい超怖い、なんか立っているだけでゴゴゴゴと効果音がつきそうな教師である。
皆の背筋が自然とのびる
「君たちの担任になった剛力 強だ。よろしく頼む」
心臓に響く低い声、そして名前、先生の親も悪ふざけかっていうぐらいピッタリの名前つけるな。
「君たちに挨拶としてまず言っておこう。俺は君達のために24時間死ぬまで働いて君たちのサポートをする。だから君たちも立派な人間になってくれ」
話を聞いている限り悪い先生じゃなさそうだな、と素直に思った。
そして挨拶が終わった後先生は思い出したかのように言った。
「そうそう、俺に反抗した奴は 殺す からな」
前言撤回、この教師はヤバい。そうクラスのみんなが全員が思ったはずだ。
ようやく設定の説明が終わりそうです。長いし退屈だったわ(笑)