友達作り其の三
四月三日 夜
僕と舞しかいない部屋では気まずい空気が流れていた。
原因は分かってる、僕が舞の超デリケートで聞かれたくないであろう話題に触れようとしてしまったからだ。
クソッ、僕のバカが!自殺者に対して死んだ理由を聞くとかバカじゃないのか、もっと考えてから発言しろよ!と今さら後悔しても仕方がない。
僕が内なる自分に怒られている間もずっと舞は自分を攻めているかのような表情でうつむいている。
なんとかこの空気を打開したい、どうしようか。
…今ならあのこと聞けるんじゃないかな。
「舞」
「なに?」
「僕が生徒会長になってスピーチがどうとかって、あれ嘘だよね?」
忙しくて忘れていたけど、これは僕にとって大問題だ。
「本当よ」
「………マジか」
友達もろくに作れない僕が生徒会長とか、正直に言って天地がひっくり返っても無理だろう。
なぜなら品口東高校はすさまじい人数を持つマンモス校。
その生徒会長となればすさまじい倍率になる。
「そういえば話すのを忘れていたわね」
「話すって何を?」
「これからのプランよ」
「なるほど」
舞の顔がいきなりピシッとしたキャリアウーマンの顔になる。
「まずあんたには、ある人と友達になってもらいます」
「ほうほう」
「相手はあんたと同じクラスの浅羽 蹴人。彼の父親が大のサッカーファンで幼い頃からサッカーを始める。中学時代はサッカー部でキャプテンになりチームを県のベスト8までつれていってる。ポジションはセンターバックよ。性格は少しチャラめ、お調子者で皆から好かれるタイプ。顔も格好良く女子からの人気も高い、スクールカーストのトップに位置するであろう人間よ」
「フムフム…いや、無理でしょ。ろくに友達も作れない僕がそんなカーストの高い人とは釣り合わないよ、そもそもなんでその蹴人くんと友達にならなきゃいけないの?」
「彼と友達になれば、あなたがサッカー部に入ったとき教師に辞めさせられることがないからよ」
「ちょっと待って…。何で僕がサッカー部に入ることになってんの!?」
「痩せるためよ!」
「いや、今まで人生生きてきてサッカーなんてやったことないよ!?強いて言うならウ○イレぐらいでしかないよ!?というか痩せるだけならサッカーじゃなくても良くない?」
「うるさいわね、神様からそうしろって言われたんだから、とにかく私に従いなさい。そうしたら生徒会長になって、その後の将来も安定にしてあげるわ!」
さっきとは別人のように明るくなった彼女にこの場はどうやら従うしかないようだ。
「分かったけど、どうやって友達になるんだよ?」
「私に任せなさい、秘策があるの」
そう悪い笑みをこぼした彼女は僕に作戦内容を伝えてから、することがあると天に帰っていった。
僕は線香が消えないよう気を配りながら、彼女に言われた通り作戦の準備を黙々とこなしていった。
母親に当番を代わってもらってからもひたすら布団のなかで準備をこなす。
明後日、学校に向かうことを僕は少し楽しみにしながらまどろみのなかに落ちていくのだった。
遅くなりました。書き方を少し変えてみました。意見、感想、評価お待ちしてます。