その後
オヤっさんの事は全然問題なかった。なぜって,イケメンはオヤっさんのお得意様だったんだ。
私が書いたごく普通の字は,どうやらここでは魔法の言葉らしい。オヤっさんが気づいて,仲間を探していたイケメンに報せたんだそうだ。それですぐ迎えに来てくれたのか。そんならそうと最初から言えよっていう気持ちが半分と,やっぱ気ィ遣ってくれてたんだって気持ちが半分。
私はオヤっさんともどもイケメンのお抱えになった。何でも,魔法と鍛冶の勉強をすればもっともっと凄いのが作れるらしい。そんなわけで,今はオヤっさんのもとで鍛冶の修行をしながら魔法の勉強もしている。雇い主になったことで,イケメンはボスって呼ぶことにした。大将とどっちがいい?って聞いたらかなり真剣に悩んでたな。ご主人様は速攻で却下されたけど。
元の世界には…どうやら戻れそうもない。ボスが言うには,どでかいことをやらかすとこの世界から弾き出されるかもしれないって事なんだけど,行き先が元の世界かどうかは分からないんだそうだ。正直,また別の世界に飛ばされるのは勘弁だ。この世界もそこそこ変なのは間違いないけど,そこそこ慣れたしそこそこ面白くもなってきたし,何よりボスやオヤっさんが居る。確実に戻れる保証がないなら,まぁここでもしょうがないかな。でもこんなことならもっと勉強しておけば良かったよ。知識さえあればもっといろいろ試せたのにな。ネットも無いから調べるのも無理。超電磁砲とか電磁竜巻発生装置とか作れたかもしれないと思うと残念だ。
まぁともかく。今できることをしっかりやって生きていくさ。