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転生したら祖国滅亡? ~仕方ないので建国チーレムする~  作者: うなぎ
古代遺産編

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絶対防御盾の抜け穴

 平原の中心で、対峙する俺たち。

 ハワードが前に出た。その動きは人どころか馬よりも早く、風のように俺のもとへと迫ってくる。

 俺は風魔法を使い後ろへと下がり、水魔法のバーハラにこの男の相手をさせることにした。

 大洪水帝とハワードが対峙する。彼の掌底が俺の水魔法を捉えた……その瞬間。

 大洪水帝バーハラが消失した。まるで、絶対防御盾アイギスによる魔術消去を受けたかのように。

 しかし、この男は盾を持っていない。これは……。


「言い忘れていたがな大将軍。俺の体は絶対防御盾アイギスの完成形、無敵防御層イージスという技術が搭載されている。全身で魔法の攻撃を防ぐ、無敵の力だ」


 仮面の男は、抑揚のない声でそう呟いた。水しぶきが、まるで幻であったかのように空気に溶け込んでいく。

 盾といった概念ではなく、体そのもので魔法を無力化する?


「つまりお前たち魔法使いは、逆立ちしても俺には勝てないということだっ!」

「……っ!」


 俺はさらに距離を取った。奴の先ほどの話が本当であるとするならば、俺のこの偽りの体自体も安全ではなくなってしまう。

 対峙する俺とハワード。奴は動かない。俺を警戒しているのか、それともお手並み拝見とでも言いたいのか……。


「…………」


 緊張のまま、いくばくかの時間が生まれる。

 さてと、考えるか。

 絶対防御盾アイギスについては、大戦時代に多くの研究がなされていた。敵国の主力となる武具の性質。それを理解することはすなわち、戦争を制することにつながるのだから。

 あらゆる魔法を打ち消す絶対防御盾アイギス。しかし研究の結果、いくつかの抜け穴があることが知られている。

 俺ならば、その穴を突くことができる。

 俺は両手をかざした。


 使い魔錬成レベル八、ゴーレム生成。


 俺は魔法を用いてゴーレムを生み出した。その数は一〇〇体。ハワードから距離を置きつつ、俺の前に数列で配置させた。


「使い魔ならば俺が破壊できないと思ったか?」


 即座にハワードはゴーレムの一体に近づいた。魔法無効化の力を使い、難なくその土の塊を破壊する。


「甘いな、大将軍。俺は自然系の魔法だけではない。物質錬成や使い魔錬成、果てには幻覚魔法に至るまで、ありとあらゆる魔法を――」


 ハワードはそこで言葉を切り、大きく後ろへと飛びのいた。ゴーレムが投げた大岩を回避したのだ。

 そう、これが絶対防御盾アイギスの弱点。


 絶対防御盾アイギスは、魔法による二次的な攻撃を無効化できない。


 例えば魔法で生み出した剣や炎は完全に無効化することが可能だ。しかし魔法で生み出した炎によって燃える木の棒や、炎の魔法を使って鉄を剣の形に固めたものまでは無効化することができない。

 絶対防御盾アイギスは、あくまで魔法そのものに対してしか効かないのだ。間接的に影響を及ぼしたものであれば、そこまで無効化が及ぶことはない。

 ゆえに、ゴーレムが投げつけた岩石が通じてしまうのだ。


「さあ、反撃開始だ。覚悟はいいなっ!」


 俺は大地魔法によって平原を隆起させた。大地が割けるように盛り上がった土の中からは、多くの岩石が露出している。

 ゴーレムたちはそれを掴み上げ、ひたすらにハワードへと投げつけていく。拳程度のものから人間の胴体程度のものまで、形は様々。しかしいずれにしても、ゴーレムの力によって高速で投てきされたそれは、かなりの威力を持っている。

 三、七、一〇、徐々に押し寄せる岩石の数が増していきそして。

 とうとう、ハワードに直撃した。


「……っ!」


 確かに、ゴーレムの投げた大岩がハワードへと直撃したはずだ。人間であれば頭蓋骨が砕けてもおかしくないその一撃を食らってもなお、彼は平然と立っている。


「大将軍、俺の体は竜の体をもとに作られている、強化された材質なのだ。泥も粘土も俺にとっては何も変わらない。あまり俺を失望させないでくれ……」


 砂と雨水によってできた泥を払うハワード。

 強いな、こいつは。

 ただ魔法を無効化するだけではない。体自体の強度やパワーが、人間のそれを大きく超えているんだ。岩程度では、こいつにとどめを刺すことはできない?

 俺はとりあえず、ゴーレムたちに継続して岩を投げるよう命令した。

 ハワードへ直撃する予定だった岩石たち――すでに二十個以上が彼の殴打によって砕かれてしまった。


「くくっ、鉱夫になったようで楽しいぞ大将軍。さあ、次はどんな岩を砕けばいいんだっ!」


 このレベルでは、ハワードを叩き潰すには至らなかったか……。


「そらっ、プレゼントだ。受け取れ大将軍っ!」


 ハワードは程よい大きさをした石つぶてを投てきした。高速で飛来してきたそれをは、俺の風魔法による障壁を難なく突破する。

 

「……っ!」

 

 体を動かし、石を避ける。俺の本体に当たるレベルの軌道ではなかったが、体に石が迫るというのはあまり心地よいものではない。

 さらに石を投げるゴーレムと、それを砕くハワードの応酬が続く。

 …………。


読んでくださってありがとうございます。


ハワードとの戦い、長い。

でも戦闘自体は次で終わる予定、ですかね。

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