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転生したら祖国滅亡? ~仕方ないので建国チーレムする~  作者: うなぎ
魔王攻略編

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魔王との決戦

 魔王ちゃんと相談を終えた俺は、グランヴァール城へと向かった。

 パティはクラリッサたちを手厚く迎え、現状を部下たちに説明したらしい。特にこれといった騒動もなく、魔王討伐に関する打ち合わせをしていた。

 そして――


 俺たちは魔王城へとやってきていた。

 俺の提案もあり、少数精鋭を引き連れての討伐。俺、クラリッサ、パティ、テレーザ、ホリィ、その他十五人といったメンバーだ。気合を入れて、敵地にやってきた。

 だが、魔物たちは俺たちを攻撃する様子を見せない。これは俺が事前に話をつけてきたからだ。真摯な態度で俺たちに声をかけ、魔王のもとへと案内すると言った。

 魔物たちは俺たちを警戒しながら、魔王城の奥へと連れていく。

 そして、俺たちは玉座の間へとたどり着いた。昨日、魔王ちゃんと話をしあったあの場所だ。

 中央には俺たち人間が二十人。目の前には魔王、そしてその周囲には幹部級らしき魔法生物ちゃんたちが十人程度立っている。いずれも険しい表情だ。


「ククク、よくぞここまで来た、人間よ」


 玉座に腰掛ける魔王ちゃんが、威厳ある態度で声をあげた。その威圧的なオーラに圧倒され、俺とテレーザ以外の全員が息をのむ。どうもテレーザは、この魔族という生き物が大したことないと思っているらしい。後でいろいろ話をつけておく必要がありそうだな……。

 魔王がその瞳をこちらに向ける。


「先日はついぞ決着がつかなかったが、今日こそは我と貴様……どちらが上か雌雄を決しようぞ」


 パティがはっとして俺を見た。


「邪神殿! 昨日あれほど言ったのに、一人でここに来てたのか?」

「ああ……悪いな。ついつい先走ってしまって。こいつを倒すつもりだった……んだがな」


 嘘はついてない。魔王ちゃんの顔を見るまでは倒すつもりだった。ホントにね。

 魔王が玉座から立ち上がった。


「た……大気が震えているわ」


 クラリッサが震え声で呟いた。まあこの大気、俺が風魔法で震わせてるんだけどね。

 俺と魔王ちゃん。互いが同程度の強キャラとして認知されるための演出だ。

 魔王はゆっくりと顔に手を当て、装着していたドクロの眼帯を外した。その目はオッドアイ……というわけではなかった。


「ま、魔王様が絶対真理プロビデンスの神眼を解放なされた!」

「一〇八つの並行世界から最適解を予知する異能の力。もはやあの人間は抵抗することもできず倒されてしまうだろう」

「さすが私たちの魔王様っ!」


 魔王様、設定盛りすぎだろ……。そのためにファッション眼帯してたのかよ。

 そしてあの子の崇められ方は誰かに似ている……。いったい誰に……うっ、頭が……。


 魔王ちゃんが空を飛んだ。対応し、俺もまた宙に浮く。

 空中場バトル。互いに風魔法を体に絡ませるレベルには到達してるので、この程度は容易だ。

 地上で俺たちを見上げている観客たちに声が届かないほどに高く、激しく高度を上昇させる。


「高いねーパパ」

「おいおい、あんまり気の抜けた顔するなよ。マッチポンプだってバレちゃうだろ?」

「はーい」


 会話はこんな感じだが、手足は派手に動かしてバシバシとパンチや蹴りを繰り出しているように見せている。地上にいる仲間や魔族たちは、俺たちが激戦を繰り広げているように見えているだろう。時々炎や氷の魔法を使って、派手に演出をしておく。

 適当にバトルもどきをしたあと、俺たちは玉座の間へと降りて行った。

 肩で息をする……必要はないんだが疲れてるっぽい動作を示しておく。それは俺だけでなく、魔王ちゃんもまた同様だ。


「カイ、大丈夫?」

「……あいつ、なかなかの力だ。でも、俺が勝てない相手じゃない」


 心配して駆け寄ってきたクラリッサに、適当な答えを返しておく。全然苦戦してはいないんだがな。


「くく……くくく……」


 魔王ちゃんが、笑う。その一種異様な光景に、俺以外の全員が固まっている。


「カイとか言ったな、認めよう。貴様は強い。この我が……全力を出さねばならないほどにっ!」

 

 魔王ちゃんは大仰な動作で自らの黒マントを脱ぎ捨てた。小さな黒羽と黒尻尾が露わとなる。

 幹部級魔法生物ちゃんは、その姿を見て非常に慌てている。

 

「あのマントは、魔王様の巨大すぎる力を抑えるための……拘束具っ!」

「遥か二千年前に伝説の勇者と戦った時以来、自戒のため常に身に着けていたその枷が……外された」

「おやめ下さい魔王様! あなた様の力を解放してしまっては、この世界が滅んでしまいますっ!」


 設定盛り盛り魔王ちゃん的には、あのマント相当すごいらしい。きっといろいろ仲間の子たちに吹聴してきたんだろうなあ。


「お前を倒すには、我の全力を示さなければならないようだ。巨大すぎる故、世界すらも滅ぼしかねないと加減をしていた、我の力を……」


 大気は震え、まるで地震のように地面が揺れていた。圧倒的な存在感を示す魔王ちゃんは、俺以外にはかなり恐るべき存在として映っているだろう。あのテレーザですらちょっとビビっている。

 ちなみに、この大気と大地は魔王ちゃんが魔法で震わせているらしい。演出ご苦労様です。


「見よっ! これが我の力っ! この星もろとも消し去ってくれるわっ!」


 魔王ちゃんがものすごい勢いで地面を叩いた。

 その瞬間、俺は魔法を発動させる。

 幻覚魔法によって、敵味方区別なく幻を見せているのだ。この場にいる人間と魔族は、すべて俺の精神支配下に入った。

 よしよし、ここまでは……計画通り。


読んでくださってありがとうございます。


魔王との戦い。

なのですが、コメディ寄りのため真剣に戦ってません。


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