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ずっと…待ってる

作者: 聖 サラン

私の知人の、k太は携帯を持た無い、(今どき、珍しいと言うか、不便じゃない?)ときいた。

あぁ、不便さ)と、彼は言う(じゃあ、何故?)と私、…少し気持ち悪い話しでさ…と、仕事柄、まぁ話してみてよとk太は、ポツポツと話し始めた、入梅のニュースが流れ先日までの、真夏日が一転して、どんよりと湿った蒸し暑い日だった。


彼女が事故でさ…死んだんだ、2年前に…あっ、ごめんね、無理に話さなくても良いよ~

いゃ!きいて欲しい!話さなきゃね、誰かに話さなきゃ

俺、限界かも…そ、それなら、聞くわよ、でも辛かったね…、うん、実はさ、俺何時も時間が守れなくて

デートは、いつでも遅れてさ、彼女はそれでも、待っててくれたんだ…あの日も、遅れて、待ってる時に車が突っ込んで何人か巻き込まれ…彼女は駄目だった…


その時に、携帯でさ、俺に何度も電話して来ていて、わかってたけど、出なかかったんだ、行けばいいやって思ってさ、着いたら事故で、その後はもうバタバタでさ…

少し、落ち着いてから、携帯を見たら着信が沢山…彼女からだった、早くね~とかさ、それで…最後の着信が…

アッ!て、短い悲鳴と雑音で、事故の瞬間️だよ

いたたまれなくて、しばらく携帯を放置してたんだ、なんか俺が遅れた責任もあって、罪悪感に押し潰されてさ…そっか~そんなことがあったんだ、携帯嫌いになるのもわかるわ。


うん、でも、違うんだ!

実はさ、暫くしてやはり、不便だしね、何時までも、鬱々してちゃいけ無いと考えて、新しい携帯に変えたんだ

ある夜…真夜中に携帯が鳴って、出ると、誰も話さない

イタズラか間違いだなと、思ったら、こ 、声がさ


k太の、そう話す、手が小刻みに震えている、私も聞くのが辛くなり、もういいよ~無理しないほうがいいかも

と、言ったが…彼には聞こえてない様だった。


声がさ…聞こえて、そ、それが言うんだ…

待ってる…ずっと待ってる…ずっと…って、彼女だった️あの、声は、間違い無いんだ!怖くなってさ~携帯を変えたんだ、でも、どんだけ変えても、暫くすると、同じ…かかって来るんだよ


待ってる…ずっと…待ってる…待ってる…ずっと…


だから、俺は携帯が持てないのさ~と彼は薄く笑った

冗談さ、あれっ、マジで怖かった?と私に聞いた、k太の声は、明る気な態度とは別に、少し震えていた…

それが、事実である事は肌で感じたけど、嘘だよと言う

彼に合わせてあげる事しか、その時の私には出来なかった…


k太は、その後しばらくして他界した…癌だった…

2年前には、多分初期の状態だった可能性が高い、私と

話した時には、本人も知っていたのかも知れない…

彼は、怖かったかもしれないけれど、もしかしたら、

待っててくれる彼女がいる事…なんて言うのか、嬉しかったのかもしれない…


彼が、迎えるであろう死を、そこにまつわる、寂しく、やるせ無い思いを、彼女は、待ってると言い続ける事で

緩和したのだろうか?なんとなく、そんな気がした…


それも、愛かな…

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