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知らない天井と我が麗しの弟

「知らない……天井ね」


霧がかった記憶、何が起きたのか、何故私はここで寝ているか……、確か私はお父様に挑んで……。

ベッドから重く感じる体を起こす。


「そうだった、右腕おられてぼっこぼこにされたんだった」


お父様におられた右腕を見る。ぶらーんぶらーん。左腕を見る。しゃきーん。どうやら右腕だけで怪我はすんだね。あ痛たたっ。体を動かすと、みしりと私の体をはしる鈍い痛み。そうだった、ぼっこぼこにされる過程で何本か骨が逝ったんだった


「うぐぐ……お父様も酷いよね……嫁入り前の娘の体を……」


ってそうだ、お父様に負けた私は、この家を追い出されるんだったっけ。あーあーやだなー、このまま家を追い出されたとして、私に待ち受けるはデッドエンドしか見えない。だってあれだよ?この魔族領で最弱ともいわれるゴブリンにも勝てるかどうか怪しいレベルなんだよ?


「あーあー……16年お世話になったこの家から、追い出されちゃうのかぁ」


考えるとものすごい暗い気分になる、今までの私は、この家に守られてきたと言っても過言ではない。と、思う。

だってあれですよ?戦闘力で劣る私が、もし一人で暮らしていたとして。それが周りの魔族に知れたらどうなる?

魔族は基本的に好戦的な生物、力こそがすべてを信条としているわけ、お父様を見ればわかると思うけど。


「ま……最悪殺されるか、慰み者として生きるか、どっちかしかないよね」


これは決して私がナルシストだとかではなく、あくまで客観的に見た場合の意見だけど。

私は……可愛いと思う、自分で言うとちょっと照れるけどね。

金髪サラサラストレートの髪に、すこし釣り目がちな赤い瞳。胸はそれなり、というか掴めるくらいにはある。ⅭかⅮってところかな、ふにふに。

真っ白なワンピースを好んで着用し、身長は160センチほど、血を飲むときはちょっとだけこぼしちゃうのが玉に瑕。戦闘力は……下級悪魔レベル


……というかあのお母様から生まれたわけだし、不細工だったらお父様の浮気を疑うところだよね。

さて、とりあえず色々自己分析してみた結果


「うん、魔族領では生きられないわ、追い出された場合」


魔道具だってお父様に結構壊されてるし、そもそも魔道具がない場合の戦闘も考慮しないといけない

朝起きたら周り囲まれてました、魔道具取り上げられてました。はい私終了、ってなる可能性もあるわけだし


「色々考えたけど……言えることは一つだけだよね」

「追い出されたく……ないなぁ」


現実逃避気味に思考を巡らせてみたけど、結局言えるのはこれだけ。

だれだって親元からこんな形で引き離されたら、嫌だと思う、多少目元が熱くなるのも仕方ないと思う。

目元からこぼれてくる熱い液体をぬぐう事もせずに。自分の両手を見つめる


「……なんで私って弱いんだろう」


結局はこれだよね、力こそすべての魔族にとって、力がないことは何よりも恥ずべきこと。

そういったものは基本淘汰され、奴隷などに身をやつすこともあるんだけど。

いかんせん私の親は強大過ぎた、だからここまで私は生きてこれた。その後ろ盾が今なくなろうとしているわけで


「慰み者……か、奴隷になるか、でもそんなのは嫌」


ぐっと、拳を握る、何ができるわけでもないけど。とりあえず前向きに行こう、そうしなきゃ何も始まらない


「姉さん?いる?」


とんとんと、控えめなノックの音、この叩き方は。最愛の弟であるヴィンセントかな?


「ヴィーでしょ?入っておいで?」


「お邪魔するね」


ゆっくりと部屋のドアを開けて、弟が入ってくる

ゆるい風を受けてさらりと流れる銀髪、左目をその髪で隠し、瞳の色はお母様譲りの蒼

すらりと高い身長に、マダムたちに人気の甘いマスク。お父様に勝るとも劣らない高い戦闘力。ちなみに年は15歳

正直これが弟でなければ惚れていただろう美貌、かっこいいんだよね……我が弟は。

ただ欠点が一つ……


「ああ!僕の姉さん!こんなにボロボロになって!あの糞親父!僕がずたずたに引き裂いて!」


「待ちなさいヴィー」


「痛い……」


ぺチンと熱を冷ますかのように額にチョップ

そう、欠点っていうのは……


「ああ……姉さん姉さん……ごめんね、守ってあげられなくて……糞親父め!これを見越して僕を魔族会議なんかに!」

「痛いところはないかい?ご飯食べれる?トイレは付き添おうか?お風呂も入れないよね?今日は僕が姉さんの体を余すところなく洗って……」


「ちょっと気持ち悪いよヴィー」


「痛い」


もう一度ぺちんと、今度はさっきより強めにね。

ええいやめい!そんな捨てられた子犬のような目で見ないでってば!

そう、欠点って言うのは、重度なシスコンってところ、いやまあ、姉としては嬉しいわけよ、なんたってかっこいいしね、私の弟は。

でもさ、いい年して一緒に寝たがるとかさ、お風呂も一緒に入りたいとかさ、ちょっと複雑、というか、姉弟ってこういうものなのかな、と、ふと疑問に思うわけよね


「でも姉さんのちっちゃい手でたたかれるのもいいね、癖になりそう」


「ちっちゃいとか言うな、馬鹿にされてる気になる」


「照れないでよ姉さん」


「ちょっと、いきなり抱き付かないで……って痛たたたた!!!」


痛いよ弟!私骨折れてるんだよ!?少しはいたわろうよ!


「ご、ごめん姉さん!つい姉さんの……あまりの愛おしさに……」


「いや、まあいいけどさ……」


こうやってナチュラルに恥ずかしいこと言うのもやめてほしい、顔赤くなっちゃうし。私顔赤くなってないかしら?


「手鏡で自分の顔を見る姉さんも可愛い」


「もういいから、それで何の用?」


手鏡をしまいながらそう弟に尋ねる、幸い顔は赤くなってなかったみたい


「うん、ちょっと色々話そうと思って」


私の寝てるベッドまで近づき、座る弟、シーツがしわになるでしょ


「うん、折角だから……添い寝して話そうか、その方が姉さんを感じられるし」


力強く私をベッドに引き倒す弟、顔が近い照れる


「今夜は……寝かさないよ?」


「ひぅぅ……」


耳元でささやくな!変な声でちゃうでしょ!

吐息が近い耳に当たる……あふっ……


「ふふっ、姉さんは可愛いなぁ、じゃあこれからは仲良くお話しタイムだね」


髪を梳くな近くで微笑むな……ちょっとドキドキするじゃないか

まあ、これはヴィーの甘えたいサインだから、落ち着け私、何度もされてるだろう

髪を梳かれる手に自分の手を重ねる、今日が最後だろうし、しっかりお話を聞いてあげないとね


「えっと……それじゃあ……」


「ん、何でもいいわよ」


さて……長い夜になりそうね……



遅れて申し訳ありません

お話しを書くのって難しい……

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