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ふつつかものですがよろしくお願いします

 もう5月。

吹き付ける風が気持ちいい。

鈴音(すずね)が来てからすでに数週間が経っている。

あれから居候が増えるなんて出来事は起きていない。

って、家に美少女が居候しに来るなんてことが何度もあってたまるか!

まあ、鈴音がごはんを作ってくれたり、鈴音(+イケメン)と登校したり、新鮮な日々ではあった。幸せである。

今日も普段どおり鈴音と登校していた。


  「良人(よしと)さん! 良人さん! あの猫かわいいですっ! 」

鈴音が目をキラキラさせながらパタパタと駆けていく。かわいい。

なんだかんだで鈴音は花も恥じらっちゃうような美少女なのだ。ほら、あそこの学生さんも見惚れてる。なんか優越感。


 声デカいけどね


 「良人さん! なんか逃げられちゃいましたっ! 」

鈴音が走って戻ってくる。やっぱ声デカい。

「まあ人が近寄って来ても逃げない野良猫なんて少ないだろうしな」

こんなかわいい子から逃げるなんて猫はメスなのかしら?

俺が猫ならあの綺麗な足にほっぺをすりすりするね! グへへ……。


 金髪イケメンの男子が寄ってくる。三ツ俣直弥(みつまた なおや)。親友。アニメ好き。

「よお、良人、鈴音ちゃんもおはよう。今日もかわいいね!   ちっぱい……グへへ……」

そして変態。胸好き。まあ最後のは聞かなかったことにしておこう。うん。

えっ!? 類は友を呼ぶって言葉を知ってるかって? 何の話? わかんないなぁ。

「そんな……かわいいなんて……お上手なんですからっ! 」

少し顔を赤らめて鈴音が言う。おもしろくない。

この数週間で免疫をつけたのか『ちっぱい』はスルーした鈴音さん。

直弥への免疫か下ネタへの免疫かどっちだろう?


 「彼女いんだろ? 今の挨拶はまずいだろ。いなくてもまずいけど。」

俺がこんなにも直弥に彼女の話題を出しまくる理由。


五里真知代(ごり まちよ)


それが、直弥の彼女の名前である。で、学園の裏ボス……らしい。

滅多に人前にはでないとのこと。

授業出てんの!? 学校来てんの!? 単位平気!?

まあともかく俺はその裏ボスとやらの顔を見たい! どんな人か知りたい!ってことで彼女の話題をよく出すのである。

「心配すんな! 1日中アニメを一緒に見る仲だ! こんなんもし聞かれたとしてもどうってことねぇ! 」

また進化している。


 ――――裏ボス…… 自由人でアニメ好きだということは分かってるんだけどね……


 学校に到着し鈴音と別れ、俺は今教室にいる。

教室が騒がしい。転校生がどうとか聞こえる。

「思ったんだけどさ……こいつら転校生の情報をどっから持って来てんの? 」

隣の席の直弥に話しかける。 そう、直弥が隣なのだ。うん。

「良人。言っちゃいかん。アニメはそういうものなんだ。」

「ここはアニメじゃねえよ! 」


 「みなさ~ん、席についてくださ~い。」

すべてがふつうな女教師、山田先生が教室に入ってくる。

「今日は転校生を紹介します。――――入って」

「はい。」

 

 俺は息をのんだ。


 とんでもない美少女だった。

北方綺華(きたがた あやか)と言います。よろしくお願いしますね。」

鈴音はかわいいという表現が合っているが北方さんは美人とか綺麗というような感じの人だった。

長くてまっすぐな黒い髪。

いいところのお嬢様と言われても信じてしまいそうだ。

何よりあのスタイル……。

めちゃくちゃ足綺麗じゃん……。程よい肉付きでやわらかそう……。

素晴らしい。

それに、ボン・キュッ・ぼ  ――――っ! 寒気がする! なぜだ!? 

っ!横!

横を向くとすごい真剣な表情の直弥。はい。

「なんて見事なおっぱいなんだ。大きさ、形、すべてが素晴らしい! 俺には見える! 見えるぞ! もはやセ〇ラさん派かフラ〇・ボゥ派かなんてどうでもいい! いまは目の前のおっぱいを! 」 

なんかブツブツほざいてやがる。さすが親友。


 視線を前に戻すと北方さんと目があった。

北方さんはそっと微笑んできた……ように見えた。


 放課後、俺は校内の自販機で飲み物を買い、直弥と話していた。

「北方さんすごかったよな~ おっぱい……グへへ」

直弥が言う。ホント胸好きだなオイ。

「たしかにすごい胸だったけど、人だかりがすごかったよな。」

今日1日中北方さんの周りには人が群がっていたのだ。

「良人、お前北方さんと知り合いなのか? 」

「いや、何でだ? 」

「北方さんがお前に微笑んだような気がしたんだけどな。」

やっぱり微笑んできたのかな?


 「良人さん! 帰りませんかっ! 」

鈴音がやってくる。

「じゃあな良人。俺は久しぶりに彼女と帰るわ」

なっなに!? 見たい! で、でも……

「良人さん! 今日はハンバーグですよっ!」

食べたい。

「じゃあな直弥。」

俺は鈴音の方を選んだ。だってかわいいんだもん。


 「めちゃくちゃウマいな! 」

口の中でハンバーグの肉汁が溢れ出してくる。

「良人さんはおいしそうに食べてくれるからとっても作り甲斐があるんですよっ! 」

花開くような笑顔で言ってくる。

あらかわいい。 『あら』……もう癖になっている。


 「ピンポーン、ピンポーン」

ごはんを食べ、お風呂に入ろうとした時にそのチャイムは鳴った。


 俺は玄関まで行きドアを開ける。

「北方さん……? 」

そこには北方さんが大きな荷物を持って立っていた。

「私のことは綺華と呼んでいただけませんか? 」

「あ、綺華……さん」

「ウフフ、『さん』は付けなくてよろしいのに。」

そう言って北方……綺華さんは胸を俺の腕に押し付けてきた。

「なっ! 」

や、柔らかい! 心臓が止まりそうになる。

綺華さんはいたずらっぽい笑みを浮かべていた。

「良人さん! 誰でしたか? ってお嬢様っ!? どうしてここにっ!? 」

鈴音がやってくる。お嬢様? この2人はどういう関係なんだろう? ボーっとした頭で思った。

「元気そうでよかったわ、鈴音。   良人さん……この家に居候することになりました、北方綺華です。ふつつかものですがよろしくお願いします。ウフフ。」



 「なっ、なんだってー! 」



 母さん、どこにいます? また手紙来るのかな?

 




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