花のない樹木
君を見つめていた。
いつも、そっと。
登下校、少し前を歩く君
君はもうすぐ春を迎える
長い長い冬を超えて、
もっともっと輝くんだ
言葉を交わすことはないけれど、
君は誰よりも美しい。
ぽつん、と一人で座っていた君
苦しくて耐えているんだと思った
でも、君は待っていたんだ
君のための季節を
君はもうすぐ春を迎える
だからこそ、惹かれた
その強い姿勢に。
ゆっくりと、ゆっくりと
君の季節は変わってゆく
僕の胸をあたたかくして
笑顔にしてゆくんだ
君を見つめていた。