河童の肉
修学旅行の巡回先でのことだった。
高校3年生の憲治は、友達と一緒に日本海に浮かぶ遊覧船の中にある食堂近くの弁当屋でサンドイッチ弁当を買った。
「憲治知ってるか?さっきの弁当屋のこれ、何十年か前までは河童が挟まってたんだってさ」
「嘘だろ?そもそもなんでお前そんなこと知ってるんだよ」
船内の食堂で憲治の目の前に座っているのは、憲治と同じものを買って同じものを食している明だった。
「ほんとか嘘かっていうよりも有名な話だぜ。噂かもしれないけどな。
で、メスとオスの肉が半々ずつ入ってるんだと」
「へ~。それは一体なんで??」
憲治は面倒くさそうにその話の内容について明に聞いてみることにした。
「さぁ~ね、その河童の肉を卸すところが急に肉の生産をやめたもんだから、外国にあった同じような店が潰れて行ったんだってさ」
「あーあれか、なんか損して得取れ的な、ていうかそういう話は僕なしでして」
「はいはい、ちょっと確かめてみたかっただけ、こっちにいると班長のやつがうるせえから戻るな」