殺人的味覚
「んーやっぱりメイドさんは料理うまいよねー」
いつも通りに城で朝食を食べる城主。
「この肉のやわらかさとかたまんな」
そのセリフのあとに吐血して倒れる。これも想定内。
「お褒めいただき光栄です」
「うん、毒さえ入ってなければ上出来さ」
息も絶え絶えの城主の口をナプキンで拭うメイド。
「スパイスにと思い東の国から夾竹桃とやらを取り寄せました」
「意味ないよ。味感じる前に死んじゃうもん」
うふふふふと自虐的に笑う城主。
を、嘲り笑うメイド。
「ところでメイドさんっていつも何を食べてるの」
「城主様が残しました料理や食材のあまりでまかないをこしらえて
食べています」
料理の毒の入った部分をどかしながら何とか食べられるところを
探す城主
「料理毒入ってんじゃなかったっけ」
「自分の料理に毒を入れるわけがないじゃないですか。
馬鹿ですか?」
信じられないといった目でメイドを見る城主。今にも泣きそうだ
「じゃ、じゃあさ、どんなものを作るのさ」
涙を拭いながら聞き直す城主
「そうですね、昨晩は牛ひれステーキとポテトサラダとデザートの大学いもを混ぜ合わせてまた焼いたものでした」
「ふーん、牛ひれポテト大学いも。ごめんもう一回言ってもらって
いいかい」
最後の一文が信じられず、聞き直す。
「牛ひれとポテトサラダと大学いもを混ぜて焼いたものです。
おとといは日本から届いた鍋というものを使い、パンケーキを煮て
食べました。水ではなくオニオンスープとコーンスープで煮てみたのですがこれが美味しくてですね」
「メイドさんの舌馬鹿ーッ なんでなんでも混ぜ合わせようとするんだよ、ポテトと牛ひれだけでやめときゃいいのになんでそこに
スイーツ持ってきちゃったの、二種類でよかったよね」
城主の怒涛のつっこみが始まる。
「そ、れ、と、鍋というものにパンケーキは入れてはいけません
お煎餅で我慢しなさい。オニオンとコーンでわーい洋風なんて
全く思えないからね」
少しメイドがしょげる。
「城主様だって一回食べてみればわかりますのに」
「と、に、か、く、僕の料理にゲテモノ出さないでよ」
呼吸を整え、落ち着こうとしてその辺にあったワインを飲み干す
が、すぐに吹き出す城主
「メイドさん、このワインは、なんだい」
血涙を流しながらワイングラスを指さす城主
「はいそれはですね、城主様にわかっていただこうと作った
{自主規制}と{自主規制}のミックスジュースです」
音もなく倒れた城主は、床に伏せた後二分ほど痙攣して動かなくなった。