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人生はバラ色の戦のよう

ある日の城の中。城主は薔薇庭園にて紅茶をたしなんでいた。


「うん。今日はちゃんとローズヒップだね。毒も入ってないし

上出来だよメイドさん」


「左様で御座いますか」


城主が半分ほど飲み干したところで、メイドがお茶菓子を持ってくる。(本当は青酸カリが入っていたのだが、城主が適応してしまったらしい)


「ったく迷惑な...」


「ん?何か言った?」


「いえ何も」


お茶菓子を口いっぱいに頬張りながら、城主がそっか、と呟いた。


(汚い食べ方)とメイドは思う。

よく見ればその趣味の悪い黒に金の刺繍の入った服に紅茶をこぼしているし、その夜のような色の髪にも紅茶が滴っている。


自分の髪色がこの城主と同じなのは気に食わないが、気に入っているので変えたくは無い。


「城主様は髪色はそのままでいいので御座いますか」


「うん、メイドさんとおそろいだしね」


このあと城主の眉間に40系マグナムが発砲されのるがいつもの事

である。


「痛いなぁもう、そんなもの昼間っからぶっ放さないでよ!

っていうかいつも銃とかどこに隠してんの?」


城主はいつも思う事がある。メイドの体は折れてしまいそうに華奢なのに重い銃を軽く持ち上げてしまうし、その一寸の狂いも無いぴったりと彼女の体にあったメイド服のどこに銃火器を隠しているのか。


(綺麗な人なのに)とも思う。肌は透き通るように白くて綺麗で

唇や頬に色は無いけど、彼女の自分に似た黒髪とメイド服でそれが

調和してモノクロになるのが美しいので、城主は彼女の見た目が好きだ。


何よりも、その整った顔が憎しみに歪む時が一番のお気に入り。


「何をじろじろと見ていらっしゃるんですか。ギロチンにかけますよ」


「怖い!何で見てただけで死刑なの?マリーと同じ死に方しなきゃいけないの?」


ギロチンは庭園に常備されており、城主はそれにもう50回はかけられている。


「では、一回逝っときましょうか」


「僕の命をフランクな感じで亡くさないでください」


と、素敵なティータイムを邪魔する声がいくつか。


(進め進め!化物を倒せ!)

城主は呆れたようにため息を漏らす。


「何、今度は何?こないだは兵隊だったよね」


「軍人のようですね」


「めんどーくさいなァ...メイドさん、頼める?」


メイドは何も答えず、大衆の方に向かって歩いていく。


と、次の瞬間、数多くの大砲やライフルが城壁から発砲される。

大量のうめき声がこだました。


「やーるね、さすが魔女」


ついでに城主にも大砲が一発発砲された。


メイドは城の門を開けると、両手に持ったショットガンで畳掛け

軍人の足や腕に穴を開けていく。



(よく聞くがいい愚かなる人間よ!

お前たちはこの城門を超えることは出来ない。このまま千切れ、悲鳴を上げて仲間が事切れていくところを見たくなければ

いち早く祖国へ逃げ帰るがいい!)


負傷した軍人たちに向かってメイドが叫ぶ。軍人たちにその言語は

伝わらなかったが、意味は伝わったらしく、大人しく引いていった


「あれ?皆生きたまま返しちゃったの?メイドさんやーさしい」


バラバラに吹っ飛んだはずの城主が何食わぬ顔で戻ってくる。


「人殺しの趣味はありません」


少し疲れた様子でメイドが言う。


「あったー、やっぱり僕カウントに入ってなかったんだー。

それにしてもさっきのメイドさん格好良かったなー

さっきのって母国語?」


メイドは答えず、ただ一発ショットガンを発砲した。



甘ったるい風が、薔薇園を通り過ぎていった。



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