表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編「DNAシンドローム」

作者: タカチ

DNAシンドローム

とある世界の物語



科学技術が発展したこの世界では、アジアの小国が一時期なしえた国民中流と行かず、全人類上流というような世界が築かれていた。


科学技術が発展した要因としては人口が少なかったことと、生命倫理等の概念が薄い事があげられるだろう。

人の命は重すぎず軽すぎず、絶妙なバランスをとっていた。


当然日常生活の大半がロボットに助けられていた。

少ない人口を補うようにロボットは作られ、労働用、愛玩用さまざまなものが製品化された。


食料の生産もロボットが行い、そのロボットも小型の原子力発電パックで電力を得て半永久的に動くことが出来るという代物だ。

このように、あったらいいけど、なくても困らないものまでどんどん機械化し人は無駄な肉体労働から解放されたのだ。



肉体労働から解放された人はまず働くのも自由になった。働きたい者が働けばいいのである。

芸術に生きるもの、旅をするもの、遊ぶことに全力をささげるなど様々な生き方が生まれた。


働くものは演劇をしたり、美しい建物を作ったり、より効率のよいロボットを作ったり、物事を探求したりとそれぞれの趣味を中心として築かれて行った。



この停滞していた世界で新たな技術が生まれた。

それは自分のDNAを好きに改変できるというものだった。


みな似たような暮らし、世界観を持っていいたところにそれはすさまじい変化で、個性という言葉が希薄な世界の住人は人と違う自分を作るのに世界中が夢中になった。



人々は皆自分を作り直した。

猫の耳を持つモノ。

チーターの毛皮を持つモノ。

角の生えたモノ。

羽の生えたモノ。

足を捨て、尾びれを付けたモノ。



次第に、只の人を見つけるのが困難なほど、DNAは改変されていった。





そして5年ほど経過しある異変を迎える事となった。



DNAを改変したものが死に出した。むしろ死んでくれた方がありがたい状態となってしまったのだ。



人類は成長したのだ。猿へと。



人類は幼生成熟ネオテニーであるという説があるのはご存じだろうか?

私たちは幼児のような姿のまま性的に成熟が起こっていると。



急激なDNAの改変は人類の忘れられたコードを読み解くきっかけになった。


成長した人類は今までため込んできた知性を吐きだし暴力に変え地上を席捲しだすことになる。



もしかしたら先祖がえりだったのかも知れない。だがそれを知るすべはこの惑星には存在しない。

調べるはずの科学者は自分の実験で己も猿になり、残された只の人は昔監獄として使われていたドームに避難し暮らすようになった。



当然ここまで退避するのに人間が大型霊長類にかなうはずがない。

暇を持て余した科学者たちが作り出した、ロボットたちによって人間は救われることとなった。


ロボット3原則が奇しくも効果を発揮したのだ。


人間から成長した大型霊長類は、人間と感知されずロボットたちの粛清にあい、そして僅かに残った人間を集め、ロボットたちは監獄に立てこもった。



わずかな人口を支えるには有り余る食料が生産でき、監獄としての名残か武器もある程度手にすることが出来、ここは、小さな小さな国となった。




「なあ、外の奴らと中の俺らどっちが幸せだと思う?」

少年は少女に聞く。

「それは……、それぞれの幸せの感じ方は違うから分からないわ」

少女はかぶりを振り覆われた天を仰ぐ。

「ただし、人間は知的欲求を満たすために生まれた生き物だ、そう本に書いてあったの。外の人たちがまだ人間だとしたら現状に絶望しているはずよ」


「そうだな。そして、俺はこのドームで道化の様に暮らすのもごめんだ。そのために武器も手に入れた。とりあえず1日外に出て外の世界を見てくる。案外言葉が通じるかもしれないぜ」


少年はうっすらと笑顔を浮かべ、涙をためる少女の頭を撫ぜる。


それ以上少年は語らず唯一の出口である小さな排気口に向かった。



おわり


短編を書いてみました。


こんな世界には生きたくないですね。



ちなみに、書いている途中でこれ猿の●星ぽくね!?と自分で思ってしまいました。



新作の映画は見ていないのでパクリではないのですが、どうなんでしょうね?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ