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第2話 メイド・暴露・そして、あとるるなお願い

第1話に比べて大変長くなっております。読んでで不具合等あるかもしれませんが、最後まで読んで頂けたら嬉しいですm(_ _)m

 ・・・・・はぁ・・・・。ただいまの俺、絶賛放心中。

 なんでこんなところに入学したんだろうって、今さら後悔しても何の得にもならないけど後悔している。

 対するつきは「もう嬉しすぎて顔が元に戻らないよ~」っとでもいいたげなふにゃっとした顔をして我を失っている。つき、お前はなぜそんなに嬉しそうなんだ。今後の学院生活でお前にも支障が出るんだぞ。

「さて、少年。一応聞いておくが、そこの女子はお前の幼馴染みか?それとも彼女か?」

 ついさっき俺のことを放心状態にした女性は、つきに指をさして聞いてきた。

「人に指差しちゃいけないんですよ。先生に言いつけちゃいますよ」

「ふっ、いいだろう。では聞いてやるぞ、少年。私は学院長だからな」

「この人なのかちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 もう嫌、こんな学院。俺やめたい・・・。

「別にお前が狂ってもいいが、、さっさと質問に答えろ。この女子はなんだ?幼馴染みか?彼女か?」

 先生はやれやれっと呆れた顔をして、再度聞いてくる。

 つきはやっと我に返ったらしく、この場の状況を把握し「あわわわわ!」と口にするくらい、ものすごく焦っていた。

「私は、は、ハル君の幼馴染みです!」

 つきは声をあげて正直に言ってしまった。まさかの爆弾発言。もう誤魔化しようがないね、これ。

 これを聞いた先生は、鳩が豆鉄砲喰らったような顔をした後、大笑いしていた。

「あっはっはっは!いや~正直者っていいな、ハル君よ。お前の学院生活は、これで薔薇色になったぞ!」

 先生は俺の肩をバンバン叩いてそう言った。こういうときは慰めてほしいですよ、先生。

「俺はそんな学院生活はしたくないです。っていうより、俺のこれからの平穏な学院生活を返してください」

 俺は先生に誠意を見せるため、土下座して頼み込んだ。

 男が簡単に土下座なんてするものじゃないというが、ここはするものだろうと俺は常識に訴える。

「まぁ、別にお前らが幼馴染みだというのを見逃してやらないこともない。ただし、条件がある。ハル君、私に二つ頼まれてくれないかな」

「え、そんな条件でいいんですか?それくらいならお安いご用ですよ」

 俺は二つの返事で了承する。

「よし、交渉成立だな。では、私は先に行く。あ、そうそう。今日は教室開いてないの忘れてた。入学式はイベントホールで行われるから、お前達も遅れないようにな」

 先生はそう言って、教室とは反対側方向にダッシュして行ってしまった。

「俺達も行くか、つき」

「う、うん・・」

 俺はつきに声をかけたが、つきはしょんぼりして一向に動く気配がない。おかしいな。普通は喜ぶべきところだと思うんだがな~。

「ったく、しょうがねぇな。ほら、行くぞ」

 このままでは入学式に遅れてしまうと察した俺は、つきの手をひいてすぐにホールへと急いだ。途中、つきの顔が少しずつ微笑んでいったことに関して、俺はまったく理解できなかった。




 キーンコーンカーンコーン。時計搭の鐘が鳴り響く。

 現在、俺とつきを含めた真宵組一同は、イベントホールで入学式をしている。だが、ここ聖あとるる学院の入学式は俺達が知ってるものではなかった。

「「「いらっしゃいませ、ご主人様!」」」

 そう。このように、教師全員がメイド喫茶のような挨拶をするのだ。学院長曰く、時代の流行に遅れてはならないっということらしい。俺の知ってる入学式はどこにいったんだ。

「にしても、なんでメイドさんなんだろうね」

「そうだな。きっと学院長の中の時代は流行はメイドさんなんだよ。けど、メイドさんって、実際に見たことなかったけど、結構かわいいんだな」

「あの、ハル君。も、もしかしして、メイドさんとか興味あったりするの?」

 顔を伏せて、少し頬を赤らめてつきは俺に聞いてきた。

「いや、別に興味あるわけじゃないよ。ただ、衣装がかわいいなって思うだけだぞ」

「そ、そうなんだ・・。・・・・・・よかった・・・・」

 つきは安心した顔で一呼吸おいた。

 そんな会話をしてる間に、メイドさんが一人こっちに寄って来た。

「あのぉ、ご主人様。名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「え、おれ?」

 声をかけてきたメイドさんはとても綺麗な金髪の髪で、眼がライトブルーの輝きを放ち、街を歩けばどの男性でも思わず見とれてしまうと思われるほどの美人さんだった。そんな中、俺は声をかけられてしまった。

 まさか、このブサイク王の智春様が声をかけられた・・だと!?・・・いやいや、そんなわけがない。この俺が話しかけられるわけがない。だってブサイクだもん。

 俺は自分にそう言い聞かせ、そっぽを向く。すると、メイドさんは少し戸惑った顔をしてしまった。

「う~ん、困りましたぁ。こっちを向いてくれないとお名前を聞くことも契約もすることができないですよぉ」

「うん?契約?」

 俺は思わずその言葉に反応してしまい、振り返って聞き返してしまう。

「あ、やっとこっちを向いてくれましたね。私、藍葉 氷(あいは こおり)と申します。ご主人様と契約をさせて頂きたいと思っております」

 彼女、藍葉と名乗る女性は、契約だのわけのわからないことを言い出し、深くお辞儀をした。

「あの~、契約っていったいなんのことで・・・・っ!!」

 そのとき、俺は焦った。たぶん、子供だったらキャッキャ言っているだろう。

 そう、理由はとても簡単だ。それはお辞儀をした瞬間、藍葉さんの豊満な(おっぱい)がプルンっと揺れたのだ。

 あ、言っていなかったが、藍葉さんの胸の大きさはEカップのひとつ上の大きさだと、俺の真実の魔眼(バストチェックアイ)がそう叫んでいる。一般の青少年がこの光景を目の当たりにしたら、誰だって焦るであろう。

 あ、ちなみに言っておくけど、つきの多きさはB~Cの間くらい大きさだ。まあ、標準サイズだといっておこう。

「あ、契約のことを担任の先生にお聞きになりませんでしたか?」

「いや、教室が開いてなかったので担任先生と会ってないんですよね。まぁ、うちの担任は学院長ですこど」

 俺は先生がいる方向をみて、軽く苦笑して言う。

 それに対して俺たちの担任である赤羽先生は、現在リンゴジュースのグラスをもっていっき飲みしている。テーブルをみると、ジュースが入っていたビン(たぶん一リットルくらいのやつ)が、空の状態で大量に置いてある。あの人、どんだけリンゴジュース好きなんだよ。

「学院長が担任?もしかして、ご主人様は真宵組の?」

「え、あ、はい、そうですけど」

 メイドさんが疑問に思い、俺と眼をあわせるようにして質問してきた。ダメだ。メイドさんを見えてしまうと、さっきの光景が頭に浮かんでしまう。くそ、この胸がいけないんだな。

 俺は少しおどおどしながら返事をする。すると、メイドさんはなんだか納得したような顔をしていた。

「なるほど・・・。わかりました。では、ご主人様。近いうちにまた後ほど」

 藍葉さんはそういうと、軽くお辞儀をして、学院長のところに走って行ってしまった。

「なんだったんだ、あの人?なあつき、あの人どう思う・・・・ってつき?」

「~~~~~~~っ!」

 な、なんだ!つきがすげぇ頬を膨らませてる!これはつきが怒っている証拠である。いったいどういうことだ?

「な、なあつき。いったいどうしたんだ?」

「な、なんでもないもん!ハル君のばかぁ!」

 なぜだか分からないが、つきはぷいっ!っとそっぽを向いてしまった。俺は聞いただけなのに、余計に怒ってしまったようだ。

 まったく、さっきのメイドさんといいつきといい、いったいなんなんだよ・・・・・・。

 俺はもう呆れて何もでない状態で、そのまま入学式(実はメイド喫茶かもしれないもの)を終了した。

 あれ、そういえば俺、なんか忘れているような気がする。



「真宵組の諸君、全員集合-!」

 入学式終了後、俺たち真宵組は担任の赤羽にイベントホールのど真ん中に集め、いきなりHRを始めた。あ、ホームランじゃなくてホームルームね。

「えーとぉ、これより第1回自己紹介もとい、個人情報暴露大会を実施したいと思う」

「「「・・・・・は?」」」

 先生のわけのわからない言動に、俺たちは口を開けて唖然としていた。この人は自己紹介って普通に言えないのか。

「ルールは簡単。出席番号順に名前と生息地、特技、好きなこと、幼なじみ(いるやつだけでよし)、結婚指輪にかけるお金を言っていけ。これをうまく言えない奴は、きっとこの先苦労することになるだろう」

「「「は、はぁ・・・・」」」

 駄目だ。もうこの先生は何を言っているのか全くわからねぇ。生息地ってなんだ生息地って。

「では、始めるとしよう。出席番号一番!雨宮!」

「え、は、はい!」

 つきはいきなり呼ばれてびっくりしていた。まぁ、あんな無茶苦茶な自己紹介の一番最初をやれって言われたら、さすがに驚くだろうな。

 つきはあたふたした状態で、先生の横(正しくは皆の真正面)に立った。

「えーと、わ、わたしの名前は雨宮月菜です。生息地?は住んでいるところだからえーと、風華町(ふうかちょう)です。と、特技は料理です・・たぶん。好きなことは料理です。お、幼馴染みはハル君・・・・です・・はい・・」

「「「えっーーーーー!!!!!」」」

 つきが俺の名前を出した途端、俺以外のクラスの男子全員が狂喜した。

 な、なんだこいつら。なんか「俺、あの人最初見たときから狙ってたのに・・・」とか「今日告白しようか悩んでたのにチクショー!」とか言ってるぞ。

 そういえば、つきって昔っから男子に好かれる体質を持ってたな~。まぁ、その男子の熱意が凄すぎて、人と話すことが苦手になったというのもあるんだけど。

 それにしても、まったくこの男子達は。たかが幼なじみの名前を出しただけじゃ・・・・・・・・・・あ。この学院じゃ幼馴染みの名前出したらダメじゃん。

 皆もご存知の通り、ここの校則て、幼馴染みと絶対男女の交際をしなければならないというきまりがある。

 つまり、つきにもし幼馴染みが居なかったら、うちのクラスの男達はつきを彼女にできたかもしれなかった訳か。

 まぁ、実際にあいつは幼馴染みはハル君ですって、人名まで出して宣言してるし・・・・っておい。

 あのアホつき、名前出しちゃダメだろ!俺の暴露どうするんだよ!

 俺は頭に抱えて悩む。さて、俺はどういう風にしたら名前を誤魔化せるだろうか。ここは偽名か?いや、ダメだ。さすがに先生になんか言われる。じゃあ、昔のニックネームとかか?いや、それもダメだな。そんなの項目に入ってない。うーん・・・悩むなぁ。

「えーとぉ、こ、これからみ、皆さんよろしくお願いします!」

 俺が悩んでる間に、つきはお辞儀をして暴露を終えていた。

「「「か、かわいい・・・・!」」」

 男たちは、なんだか天使でもみたような表情になって、つきが座るところまで見届けていた。変態か、あいつらは。

「ふむ、なかなかいい暴露だったな。これからもよろしくな。では、次!出席番号2番、鵜川!」

「は、はい!」

 鵜川と呼ばれた男は、つきと同じ先生の横に立った。

「俺の名前は鵜川霊(うかわれい)です。生息地は(プール)で、特技はバタフライです。好きなことは水泳で、幼なじみはいませんというかほしいくらいですね。指輪にかけるお金は、所持金の全てです!」

「質問!所持金いくらか教えてください」

 相沢の暴露の後に、唐突な質問が飛ぶ。言ったのは、俺の真ん前の女子だった。

「ふっ・・。そんなに見たいならみせてやるぜぇ!」

 相沢はそう言って自分の尻ポケットから財布を取り出して中身を見せた。その残金は・・・・・・・・・・・・・わずか百円。あいつ、バカかアホで例えるなら、間違いなくバホだな。

「相沢、お前ってやつは勇気があるな。例え所持金がそれだけしか無くても皆に見せようとする心意気、私は気に入ったぞ!評価を+にしてやろう」

 先生は涙を流しながら、相沢を見てそう言った。先生、あんたって人はいい人なのか変な人なのか俺には分からなくなってきたよ。

「ありがとうございます、先生!」

 相沢は感激の笑みで自分の元の位置に戻っていった。

 今思った。先生はなんか評価をつけてるみたいだから、先生の気に入られるように暴露しなきゃいけないのか。ってことは、俺もあんな感じでやらなきゃ駄目ってことなのかよ・・・・はぁ。

 こうして俺は、自分の暴露を考えつつ、静かに聞き続けた。

 鵜川の暴露が終わって約一時間後。俺はさまざまな暴露を聞き続けた。正直、皆すげぇ個性的な暴露で自分が心配になってきたぞ。

「よし、いい暴露だったな。これからもよろしくな。では次!桜 智春!」

「は、はい!」

 先生がひとこといって、俺を指名した。ついに俺の番がきてしまったようだ。俺は自分の考えを忘れないように、皆と同様に先生の横に立つ。そして、暴露を開始する。

「えーと、俺の名前は桜智春。生息地は地球で、特技は呼吸だ。好きなことは読書だけど、強いて言えば特にないです」

「「「「いや、どっちだよ!」」」」

 俺の発言に先生達一行はツッコミを入れてくる。よし、いい感じに空気を掴んだぞ。計算通り。

 だけど、問題は次だ。ここでミスしたら、俺の今後の生活は破滅と化すだろう。俺は胸を張り、勇気出して言う。

「俺に幼馴染みはいない。また、俺は幼馴染みがほしいだなんて思わない。だって、俺は恋は自分の手でしたいから!」

「「「「へ、へぇ~・・・」」」」

 あれ、なんか反応薄くない?俺、もしかしてやらかした?ヤバイな。ここはさっさと終わりにさせてしまうのが一番かな。

「ま、まぁ俺は、校則という名目で交際したくないってことさ」

 俺は急いで訂正を入れる。すると、皆は「なんだ、そういうことか」とか「確かにそういうのもアリだな」などと言ってたりしている。ふぅ、なんとか誤魔化せたっぽいな。

「じゃあ、次にいこうかな。俺が結婚指輪にかける金額は・・・」

「「「「金額は・・・!?」」」」

 緊迫した空気が出来上がる。このタイミングでいう台詞は、俺はもう決まっている!

「金額は・・・安くたって、そこに愛があればいいと俺は思う」

「「「か、カッコイイ・・・!!」」」

「「「「うわ、台詞くさ・・・」」」」

 クラスの女子に好評な発言は、男子や先生には不評だった。なんかショックだ。

「ま、そんな感じで俺の暴露は終了だ。これからもよろしく」

 俺はそう言って軽くお辞儀をする。すると、皆からパチパチパチっと拍手が聞こえた。

 正直、拍手がもらえるなんて思ってもみなかった。なんか嬉しいな。俺は拍手を受けて、元の位置に座った。

「桜の暴露は、今日一番のものだと言っても過言ではないな。よし、++の評価をやろう。後、これが終わったら、学院長室まで来い。いいな?」

「は、はい」

 先生は俺に高評価をつけてくれたかわりに、俺は呼びだしをされた。ああ、たぶん今朝の件のことかな。俺が返事をした後、つきが静かにこっちに寄ってきた。

「ハル君、お疲れ様」

「まて、つき。俺はまだ死にたくない。とりあえず、俺たちが幼馴染みの関係だとばれないように、ハル君って呼ぶのをやめるんだ」

 俺は回りに聞こえない様に、つきにそっと耳打ちする。もし他の奴らに聞こえていたら、今頃俺は男子に串刺しにされて、血祭り状態だな。

「え。もう、ハル君ってもう呼んじゃダメ・・なの?」

 つきは少し眼が潤んだ状態で、琴菜さん直伝の上目遣いをしてくる。ぐっ、卑怯な。そんな眼されたら言い返せなくなるじゃないか。

「べ、別に一生って訳じゃないぞ。ただ、学院の中では呼ばないでほしいだけだ」

 俺はつきの眼を見ないように言う。

「う、うん。わかったよ、ハルく・・じゃなかった、え~とぉ・・・さー君!」

 つきは少し考えた後、微笑んだ顔でその名前を言った。

「苗字の桜からきた名前か。まあ、それならバレからいいな」

 もしちーちゃんなんて呼ばれたりしたら、俺は恥ずかしくてつきを見れなくなる。ただでさせ琴菜さんか言われてるのが恥ずかしいのに。

「う、うん!・・・えへへ・・さー君かぁ♪」

 つきは、とても嬉しそうな笑顔で呟いていた。そんな中、俺はつきの独り言を聞きつつ暴露を聞くのであった。



 入学式から2時間後、ようやく最後の暴露が終わった。

「ふむ、背中歩きが特技か。今度見せてくれな。では、これにて、第一回自己紹介、もとい個人情報暴露大会を終了する。各自解散とするから適当に帰っていいぞ。あ、桜は学院長室に来るように。以上!」

 先生が閉会式みたいな言い方で言うと、皆迅速かつ無駄のない行動で、一斉に帰りだした。コイツら、いったいどこの集団だよ。 

 さて、俺は俺で学院長室に行くか。たぶん今朝の頼みごとの件だろうし。俺はホールを出ようと出口に向かう途中、つきが声をかけてきた。

「あ、さー君。学院長室に行ってる間、どこで待ってればいい?」

「え、もしかして待ってるつもりなのか?そんなの別にしなくていいのに」

「わ、私が待ってたいの!さー君と一緒に帰りたいんだもん!」

 俺はつきの申し出に遠慮したが、つきは首を横に大きく振って否定した。

「わ、わかった。そこまで言うなら、終わるまで門のところで待っててくれるか?」

 俺はつきの熱意に負けて、少し遠慮気味に言った。

「う、うん!わかったよ、さー君。じゃあ、また後でね♪」

 つきは俺に笑顔を見せ、そのまま門の方まで走っていった。まったく、あいつはまるで犬みたいだな。俺はつきの後ろ姿を見て苦笑して、そのまま学院長室に向かった。


 廊下を歩くこと十分、俺はようやく学院長室にたどり着いた。

 はぁ、疲れた。さすがに学院初日だから迷っちまったぜ。俺は息を整え、部屋のドアをコンコンっとノックする。

「学院長、桜です。入りますよ」

「お、やっと来たか。よし、入っていいぞ」

「わかりました。失礼します」

 学院長の返事の後、俺は部屋のドアを開ける。するとそこには、部屋一面にメイド服が飾ってあった。なんだこの部屋。俺、来る場所間違えたか?

 俺は唖然として何も言えなかった。俺、学院長にいったい何を頼まれるんだろうか心配になってきた・・・はぁ。

「ようこそ、我が学院長室、通称メイド畑へ」

 学院長は両腕を広げて歓迎してくれた。いや、メイド畑って自分で言っていいのか?

「学院長、呼び出した理由は、今日の件についての交渉条件のことですよね?」

 俺は学院長に尋ねる。もしじゃなかったら、つきになんて説明していいかわからないぞ。

「もちろんその通りだよ、ハル君よ。これは、君にしか頼めないといっても過言じゃないだろう」

「は、はぁ・・・・」

 学院長は俺を過大評価しているようないい方をしてきて困るな。俺、そんなすごい人じゃないのに。

「では、言うぞ。君には一週間の間、私の娘を預かってほしい」

「・・・・はい?学院長、今なんておっしゃいました?」

 俺は今の台詞が娘を預かってほしいと聞こえたが、そんなの聞き間違いだと信じる。さすがに頼むべきことを間違えてるんじゃないかと思う。

「聞こえなかったのかい?まったく、仕方のない子だな、ハル君は。いいか、もう一度だけ言うぞ。君には一週間、私のむ・す・め!を預かってほしいんだ」

「聞き間違えじゃなっかったかちくしょおおおおおおおおお!」

 俺は叫んだ。こんなこと、普通はあってはいけないことだろう。学院長の娘さんを預かる?ハハハ、意味わかんねえ。

「学院長!どうしてそんなことを頼むのか聞かせてください!」

 俺は聞く。もし理由が「なんか楽しそうだから」とかふざけた理由だったら、俺はもう条件なんてどうだっていいと思った。

「まあ、落ち着いてくれハル君。実は、私はこれから出張で一週間家にいないんだ。だから、娘を一人にさせてるのは不安なんだよ。そこでいいところに現れたのがハル君ってわけ。どう、納得してくれた?」

 学院長は少し悲しげにそう言った。このとき俺は思った。それならつきに頼んでほしかったと。

 けど、俺も条件を飲んだのだから、ここで拒否するのはよくないな。俺の今後の平穏な学院生活と引き換えにこの条件を達成すればいいのだから。

「・・・わかりました。娘さんの危険性のないように精一杯頑張ります」

「本当か!いや~助かった!じゃあ早速だが任せるとしよう。おーい、こおりー」

 俺が返事をした後、学院長はとても嬉しそうな顔をし、娘さんの名前を呼んだ。なるほど、こおりって名前なのか。・・・・ん?はて、どっかで聞いた名前だな?

「お母様、何かお呼びになりましたかぁ?」

 こおりと呼ばれた女性は、部屋の奥にある扉から入ってきて、学院長の隣に立った。

「うむ、実は今日から私は出張で少し家を空けると言ってあっただろう。それで、私のかわりにお世話をする人を見つけておいたぞ。だからほら、ちょっと挨拶してきなさい」

 学院長は俺に指差してそう言った。だから、人に指差しちゃいけないんだって。

 娘さんは、俺に近づいてくる。あれ?そういえば、この金髪でライトブルーな輝きを放つ眼、どこかで見たような・・・・。ああ、思い出した。確か入学式であったあのメイドさんか・・・・・って、ええええ!

「あれ、あなたは確か、入学式にお会いしたご主人様ではありませんか?」

「おや、こおり。お前こいつを知っているのか?」

「あ、はいお母様。今日の入学式のときにお会いしました」

「なんだ。なら話が早い。ハル君よ、面識があると思うが一応紹介しておく。これがうちの娘こおりだ」

 学院長は藍葉さんの肩に手をおいて俺にそう言った。

「藍葉氷です。短い間ですがよろしくお願いします」

「は、はぁ・・・。よろしくお願いします・・・」

 俺はこの状況ついていくのが精一杯な状態で返事をする。まさか、あのメイドさんが学院長さんの娘さんだったなんて思ってもみなかったな。

 けど、メイドさんが一週間も滞在するのか。そう考えると、これって結構ラッキーだな。朝は起してくれたりご飯を作ってもらえたりと、いろいろいいことあるんだな~って俺は思った。けど、問題が一つだけあった。


 つきになんて説明したらいいんだろうな・・・・・はぁ・・・・・・。

お疲れ様でした。

感想を書いて頂ければ、感激の極みですm(_ _)m

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