第1話 あとるるのお約束
初めまして、黒薔薇です。
今作は2作目の物となります。読みにくいかもしれませんが、最後まで読んでもらえると嬉しいです。
俺、桜 智春。パッと見女の子のような名前ではあるが、純粋な男である。また、今日聖あとるる学院の入学式なのにも関わらず、寝坊をしてしまったバカでもある。だから俺は、通学路である坂道を全力疾走中だ。
このまま走っていれば余裕に間に合うのだが、俺には幼馴染みがいてそいつを迎えに行かなければならない。っといっても、坂道が終われば目の前にあるんだけど。
そうして俺は坂を上り終え、幼馴染みの家まできた。俺は息を調え、インターホンを押した。すると、馴染みのある声が聞こえてきた。
「ちょっと待っててね、ハル君」
たぶん今の声はあいつだろう。俺は指示に従い少し待ってみると、玄関のドアが開いて馴染みのある顔が出てきた。
「おはよう、ハル君。ごめんね、待たせちゃって」
「おはよ、つき。別にそんな待ってないから別にいいよ」
こいつの名前は雨宮 月菜。腰まであるさらさらした薄い茶髪で、少し気の小さい性格をしているごく普通の女の子だ。幼稚園のときからいつも一緒で、ときどき一緒にいすぎて関係がある者同士かと思われるが、俺達はそういう関係ではない、ただの幼馴染みなだけである。
俺がつきに軽く挨拶を交わすと、再び玄関のドアが開いた。
「あら、ちーちゃんおはよう~。今日もかっこいいわね~」
「おはようございます、琴菜さん。もう高校生になったんですから、いい加減その呼び方が恥ずかしいんですけど・・・」
「そ、そんな・・・。ちーちゃんは私のこと、嫌いなの~?」
「いや、別に嫌いとかそういうのじゃなくて・・・・・」
「じゃあ呼んでもいいわよね~?」
そういいつつ俺に上目遣いをしつくる琴菜さん。ぐっ、こんなことされたら俺は許しざるえないじゃないか。
「・・もうなんでもいいです・・・」
「わ~い、やったー!」
俺はもう降参して琴菜さんから解放された。
あ、紹介を忘れてた。この口調がおっとりしている女性はつきの母親の雨宮 琴菜さん。俺が小さいときからお世話になっている人で、今でも夕飯などにご招待されることもあり、今では俺の母親代わりの存在だ。
「あ、あのハル君。そろそろ行かないと、遅刻しちゃうよ」
「えっ、もうそんな時間なのか?」
俺はつきに言われて慌てて時間を確認する。現時刻は八時三十分。登校時間まで残り10分きったところだった。
「あ、ほんとだ。じゃあ行くか、つき!」
俺はそう言いながら学院に向かって歩き出した。
「まってよハル君ー。あ、お母さん、いってきます」
「いってらっしゃ~い♪」
つきは琴菜さんに挨拶し、俺の後に続いた。
学院に到着して俺達はすぐさまクラス表を確認しに行った。今日は入学式だから、クラスはまだ公開されてなかったからだ。幸い、すぐに見に行けばギリギリ間に合う時間だった。
「今年もハル君と同じクラスになれるかな?」
つきは歩きながら心配そうに尋ねてきた。なんでこいつは涙眼で言ってくるんだろう?
「たぶん大丈夫だろ。まだ俺達は違うクラスになったことないだろ」
俺は安心させようと、頭をポンポンっと軽く叩きながら言った。すごいことに、俺とつきはまだ一回も違うクラスになったことがない。それどころか、席がずっと隣なのだ。
「う、うん・・・。たぶん大丈夫・・だよね?」
「ああ、大丈夫だ。だから、早くクラス表見てこようぜ」
俺はそういい、つきの手を掴み、そのままクラス表がある場所まで向かった。途中、つきが顔を真っ赤にしていたが、俺にはなんでだかわからなかった。
そうして、俺達はクラス表を発見した。俺達は一旦別れ、自分の名前を探すことにした。
「えーと・・・・俺の名前はどこだ・・・・お、あった」
俺の名前は真宵組と書かれたところにあった。さて、つきはどこの組なんだろう。俺は別れたつきを探すため、少し辺りをうろついてみた。すると、つきは思ったより簡単に見つけることができた。
「おーい、つきー。お前どこのクラスだった?」
俺は少し大きめの声で呼びかけた。すると、つきはこっちに気づいたみたいで、俺のもとに近づいてきた。
「わたしは真宵組っていうクラスの出席番号1番だったよ。ハル君は?」
「お、本当か。実は俺も同じクラスなんだぜ、つき」
「ほ、本当?・・・・え、えへへ・・・ハル君と一緒だぁ・・・・♪」
俺が答えると、つきはなんだか嬉しそうな顔になっていた。まあ、俺もつきと一緒だと嬉しい。こいつと一緒にいればなにかと都合がよかったりするし。
「よし、クラスが分かったことだし、早く教室に行こうぜ」
「その前に、昇降口で生徒手帳をもらわないとね」
つきは俺に一言いうと、昇降口に向かって行った。その足取りはなんだか嬉しそうだった。そんなに嬉しかったのかと思い、思わず苦笑してしまった。
こうして俺とつきは生徒手帳をもらい、真宵組がある教室まで向かった。
「なんだかハル君とまた一緒のクラスだと思うと今年も楽しみだな~」
「お前、今年こそは友達いっぱい作れるといいな」
「え・・・それは、ちょっと難しい・・かな」
つきは心を許した相手ならいい表情を向けたりするのだが、気が小さいために、友達と呼べる友達がいうない。それに、つき本人はなぜか俺と一緒の方が楽しいらしく友達を作ろうとしないのだ。
「まったく、お前はいつもそうだよな。たまには俺以外の相手とも話してみろよ」
「い、いいよ。私、ハル君とお話ししてた方が楽しいもん」
つきはそういうと、なんだか拗ねてしまい、ひとりでに教室に行ってしまった。
「まったく、あいつはなんでああなんだか・・・はぁ」
俺はため息をついた後、すぐに追いつき、一緒に教室に向かった。その途中にある一人の女性と出合った。
「おや、お前達は侵入生かい?」
「はい、俺達は新入生です」
なんかいきなり侵入者みたいな扱いされたな。思わず即答しちゃったけど。つきは俺の後ろに隠れちゃったし。
「ふぅ~ん・・・それでお前達、これからどこに真宵組に行くのかい?」
「はい、そうですけど・・・。って、どうしてそれがわかったんですか?」
「なら、お前達は生徒手帳を読み上げてくれ。あ、二人交互に読んでくれ」
俺達は女性に言われた通りにを読みあげようと、生徒手帳取り出した。
「えーと、どれどれ・・・・・ってはぁ!?」
「え、え、ええええええええ!?」
俺とつきは驚きのあまり声をあげてしまった。だって、しょうがないじゃん。そこに書かれてた言葉がおかしいんだもん。
そう、そこに書かれていた言葉は・・・・・
☆聖あとるる学院の校則☆
1、頭髪とか気にしちゃダメ!皆自由でいよう!
2、授業中にガムとか食べるの禁止!見つけたら先生がもらう!
3、幼馴染みがいる場合では必ず男女の交際をしなくてはならない。これ絶対!
以下の校則を守れないものは退学とする。聖あとるる学院長、秋羽 真宵。
なんだこの校則、意味わかんねぇ!てか、なんで俺がつきと付き合わなきゃいけないんだ!?でも、なんでつきはこんな嬉しそうな顔してるんだ?っていうか、真宵ってうちのクラスの担任じゃねえかよ!あー、もう!わけわかんねえよ!
はぁ・・・・・。俺の学院生活は、これからどうなっちまうんだよ・・・・・。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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