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20)付与魔法についての考察3
投稿日時
なう(2025/07/07 22:11:49)
改稿日時
次に挑んだのは『火』
すでに焚き火の再現には成功しているが、もっと手軽に扱える着火用の道具が欲しかった。
「火打石の代わりに、魔法で火種を作れたら……それだけで生活が変わる」
陽翔は乾いた木の枝を選び、今度も魔力の絞り込みを慎重に行う。
(マッチの先端みたいに、一瞬で『ボッ』と火花が出るくらいの……)
イメージは、火花・熱・発火性。
石のときよりは強めに魔力を込める必要があるが、それでも制御を意識すれば枝でも十分耐えた。
やがて、枝の先端が「パチッ」と小さく爆ぜ、赤い火花が散る。
「よし……これも、いけるな」
試作品は一瞬の火花を生むだけの道具だが、焚き火や草葉に着火するには十分だった。
これがあれば、弓切り式の火起こしに毎朝苦労しなくて済む。