17)付与魔法成功と解毒の瞬間
投稿日時
なう(2025/07/05 17:37:52)
改稿日時
陽翔は何度も何度も魔力を注ぎ込み続けた。岩の表面がわずかに輝き、その輝きは徐々に内部へと広がっていく。
やがて、岩が淡く震え、細かな光の粒子が放たれた。
その瞬間、彼の腹の鈍痛が鋭い痛みに変わり、一瞬身をよじった。
「うっ……!」
だが次の瞬間、痛みが急激に和らぎ、代わりに体内から毒が浄化されていくような温かい感覚が広がった。
「やった……! 効いてる……!」
陽翔はゆっくりと立ち上がり、力強く深呼吸をした。体が軽く感じられ、目の前の世界が少しだけ明るく見えた。
「これで……解毒に成功した。まだ完全じゃないけど、確実に体は回復している」
彼は岩を見つめ、感謝の念を込めて小さく呟いた。
「ありがとう……」
付与魔法での解毒はまだ拙いが、それでも自分の魔法の可能性を確かめた瞬間だった。
陽翔はゆっくりと深呼吸しながら、明日からの行動を頭の中で整理した。
「これからはもっとしっかり魔法を練習しよう。
付与魔法だけじゃなく、直接体を助ける魔法も使えるようになれば……もっと楽になるはずだ」
夜の静けさが彼の周囲を包む中、村瀬陽翔の心に小さな希望の灯がともった。