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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
きりとりせん(多多邪の宮の悪趣味城塞編、etc)
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がーるふれんど とは

 凄惨な景色が広がっていた。血と肉片と、切断された肢体。

 罰を下された者が転がっている。

 ジゼル・クレマンは…切断遺体もとい多多邪の宮へ絆創膏を見せる。

「化け物であるわえがこんな物で治るとでも?」

 ジゼルは優しい笑みで、いいや、と言う。

「ガールフレンドに絆創膏、もらうと嬉しくなるんだってー」

「ガールフレンド?どこにいるんだろぉ?」

「あははっ。相変わらず意地悪だね。そういうの友だちに嫌われちゃうよ?」

 血みどろの多多邪の宮は横たわって、血を遠くへ吐いた。無惨な状態なのに彼は痛みを感じていないようだ。それもう、彼はこの世の者でないのだから。

「友だち?わえに友だちなんかいないよ。ねえ、ひどいでしょ。遠い置き土産を見つけられてとっちめられちゃったんだよぉ」

 彼は知らないようだ。目の前にいる者こそが報告に関わっている事を。

「…ねえ、お土産て?人間にお土産をあげちゃった?いつの話?」

「あー、それが。忘れてたや…」

 優しい雰囲気の少女がクスクス笑う。醜悪なモノを見る目付きで。

「何かあげる時はちゃんとオチを設けなきゃね?望んだモノにはそれなりの代償があるって、人間に分からせなきゃいけないんだよ。…って偉い人が言ってたー。神さまのフリをするなら、尚更なんだって」

 神さま失格。そう貶めると、ため息をついた。ジゼルは、

「タタさんは優しいんだから。ひとに利用されっぱなしは良くないよ」

「わえは()()だもの。神さまじゃないもん」

「人間?あははっ。変なの〜」

 まったくこのこの世の者でない部類は頭が違っていると、ジゼル・クレマンは優しい顔を貼り付けたまま見下げ果てる。

 化け物だというと怖がり、今の世の人間だというと否定する。

 多多邪の宮はそんな人物だった。

 人間が生まれて、何種類の似た生き物が死んで、文面が誕生する前に多多邪の宮は拾われた。多分、家族だっていたろうし、狩りや生活をするための集団だっていたはずだ。

 人間なんて、ジゼル・クレマンからしたら生命体でしかない。だが、多多邪の宮には現代人は自分に似た別物に見えている。

 人間の真似事をする人間。ジゼルはそんな、不気味な生き物に取り憑いて観察しているのが好きだった。

 自分も不気味な生き物だとは自覚している。こうやって寄生して遊んでいるのは、この世の者でない部類では変わった事じゃあない。

「あ、彼女きたよ」

 変人が来たのを察して、立ち上がる。

「ぬ、ぬえーっ!追い払ってよぉ!」

「ええっ?元はと言えばタタさんがエスコートしたんでしょ?ちゃんと手を引いてあげないと」

「あれはいっときの迷いで((ry…ぎゃーっ!」

「ママ〜〜」

 雷光と共に現れた女の子に、多多邪の宮は切実に悲鳴をあげた。

 年端もいかないその子供はかつて多多邪の宮の手を取った、言わば同族や眷属に近しい存在であろう。

 彼を唯一怯えさせる存在でもある。

「ジゼル!友だちでしょ〜っ!助けて!」

 ズルズルと引きずられていく『友だち』に彼女は笑う。

「友だち?タタさんにはそんなモノいないでしょ?さっき言ってたじゃん」

(それにさ、自ら作ったのは敵しか、いないでしょ。あー、愚かしい。面白い。そういう所も好きだよ)

 心の中でそんな意地悪な言葉を吐いてみる。

 ぬいぐるみの腹に詰め込まれる多多邪の宮を眺め、ジゼルは踵を返した。

「さてと、伝書鳩の任務に戻らないと…」

二人の関係について。

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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