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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
きりとりせん(多多邪の宮の悪趣味城塞編、etc)
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みはる と ぎゃびー のまよなかたんさく 【終了】

多多邪の宮さん迷宮シリーズはこれにて完結です。

 再生されたギャビーは慌ててミハルへしがみついた。

「な、何が起きてやがるっ?!」

「さあ。分からん。けんど、あれを見てみ」

 上空で赤い光が噴煙を照らしている。周囲の山々がクッキリと浮かび上がるほどの大規模な噴火であった。

「おまいさんのおかげやよ」

「ああ、そうか。…でも」

「御託は良い。逃げるぞ!」

「──なぜ!なぜ、火山が活動しとる?!貴様ら何をした?!」

 いつの間にか最初にあった老人が叫び、二人に詰め寄ってきた。笑顔を貼り付けた翁面のはずなのに、怒りと絶望が伝わってくる。

「おまいさんが築いた楽園を破壊したからよ」

「なんて事をっ!この狼藉者!」

 怒号を発しミハルの頬を殴り、笑い面のまま叫ぶ。

「私の、私の!神がくれたっ!この力で…!ああ、あああ、私の極楽浄土を消すなあ!!」

「じいさん!そりゃ分かるけんど早くしないと火砕流に呑まれるぞっ!」

 火口から溢れ出した噴煙が火砕流となりこちらへ迫っているのが、奇妙な臭いで分かる。

「私の家族は、私の村はもう──」

 老人が火砕流に呑まれ、ギャビーは煙が押し寄せる前にテレポートした。

「ハアハア…やったか?」

 着地した先は皮肉にも自分自身の職場だった。

「え?ここは、遊園地の?」

 燃えている。またもや山火事かと思い、テレポートをしくじったかと彼女は小さく呟いた。しかし煙をあげ崩れていくのは遊園地だった。

「え?え、何で?何で?遊園地が?…フープ!フープ!応答しろよっ!」

「待て──おい!」

 手を伸ばすも彼女は炎の中へ突っ込んでいく。愉快な演出をしていた建物が崩れ落ちていくのを前に、ミハルは冷静にスマホで写真を撮る。

「スパイの結末くらいは収めておかにゃ。恨むなよ」

「報告済みですよ。ミハルさん。写真は即削除してください」

「え、あ、誰です?アナタは?」

 隣には音もなくスラリとした人が佇んでいた。

「ふふっ。ミャオアス・ノンと申します。ダッチバーンとフープには自供してもらわなきゃいけませんし、助けに行きますかね」

 ミャオアス・ノンと名乗った人は背筋を伸ばしたシャナリとした雰囲気を漂わせている。気品があるのだからお偉い身分なのだろう。

 だが、どの祖の眷属なのか見当がつかぬ。

「では。天使さん。貴方にも軽い懲罰を与えなければなりません」

「いや、天使じゃあありませんぜ。えっ??なんでなん?」

「此岸では県境の火山群で大規模噴火が起こり、混乱が起きています。それは貴方とダッチバーンが起こした事。なので少しの間、ダッチバーンと罪を償っていただきたい」

「は、はー。なるほど」

『軽犯罪の券』と手書きで書かれたレッドカードを渡され拍子抜けする。

「…そういえば多多邪の宮にもペナルティを課さなければなりませんね。タタラバなんて溶解炉と呼ばれた、人を神に捧げるために生贄を高熱の銅で溶かして、その銅で造られた銅鏡を神前に奉納し、祈願していたというじゃありませんか。ハッ。野蛮極まりない」

 最後に軽蔑を込めた笑みを浮かべ、その人は一歩踏み出した。

「は、はあ。じゃあ、お元気で〜」

 スタスタと軽い足取りでその人は大火事の現場へ歩いていった。

(よく分からんなぁ、世の中ってのはよ。まあ、いいや。深く考えても何にもならんよな。…ギャビーちゃん。そうだな。あんたはもう、帰ってこないんよね…)

 ミハル・ミザーンは佇み、崩れていく狂った施設を見せつけられ無心になるしかなかった。

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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