じはく ざい(第12話)
多多邪の宮さん迷宮シリーズです。
自白剤と自白 罪をかけました。
廊下を歩いている間、偽物のギャビー・リッターは朦朧としているのか脱力している。担がれているのがやっとなのか、あれだけひたすらにしていた状況把握もしない。
「…ちくしょう。俺だって、こんな事したくて下界に。でも、あれ、あんな遊園地にいるよりは…あれ?」
意識がぼんやりとしているのか、彼女はブツブツ呟いていた。
「遊園地?ああ、無明のカルーセルかい?」
「そうだよ。誰もいねえ訳分かんねー遊園地で働いてんだよ…メリーゴーランドだけ回ってて、気味悪ぃし。しかもアレは、生命体のエネルギーを餌食にして──」
そんな遊園地があるとは知らなかった。しかしこれはいい機会だ。
「ギャビー・リッターもそこにいるんか?」
「ああ、俺が殺したんだ。肉体を殺して、自由にしていいから、コレクションだけもらって。魂は、遊園地に」
「そうか。お前、コレクターなん?」
「ああ、背骨が。背骨を集めるのが好きで」
とんだシリアルキラーだ、と内心、ミハルはツバをはく。そんな訳の分からない遊園地のために真のギャビーは死んだのだ。特に期待していた部下でもない。しかし生い立ちが、死に際が無惨なものだったのは知っていた。
そんな娘はまた苦しみながら命を落としたのだ。
「お前は遊園地から生まれたのけ?」
「いや、俺は昔、アメリカで…普通に、趣味を楽しんでただけなのに。シリアルキラーって騒がれて、死刑にされたんだ。それで目が覚めたら遊園地で働かれてて…」
「なるほどな。お前も、ここの奴らと同じやんね」
「…はぁ?」
眉をひそめた彼女に、こちらは適当にあしらった。
「まーいいや、しばらくぼんやりしとけ」




