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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
キリトリセン(サリエリちゃんの開かず扉の鍵、隠し神編、他)
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どちらが まもの か?

 多田 香純(かすみ)はぼんやりと寒空の下、陸橋のトンネルに佇んでいた。

 最近、パビャ子たちに会わない。

 白昼夢か、幻覚だったのか──自分自身の安息はあっという間にさらわれた。

 詩的な表現をするのならばトンネルの向こう側を知ったからか?

 血みどろの延々と続く逢魔が時の現実に身を置いてみると、夢見ていた破壊衝動はただのおもちゃであった。何かが異なるズレた世界では無力な。

 後輩の血抜きを手伝う事も、死人を介護するのも。

 現実の延長線でしかない。苦悩を伴う…。

「──つまらないの?」

 頭上から声がして仰ぐとハレンチな服装をした子供がコンクリートに立っていた。こちらが天井にいるかのような錯覚を起こす。

「えっ」

「すごくつまらない顔をしてるじゃない?」

「そんな、いきなり何…」

 悪魔?まるで世間一般が描く通りの尻尾がユラユラしている。今度は悪魔が現れた。

「手を取ってみない?こっちのセカイはたのしーよ」

 天と地がひっくり返した現状で、子供はイタズラっぽい笑みで誘ってきた。

「…」

 手を取ろうとしたら、横から大きな手がかっさらた。驚いて横を見ると日本人ばなれした美形な青年がいる。いつの間にやってきたのだろう?

「ちえっ!どいつもこいつもっ」

 ぶうたれた子供はピョンと地面に降りると、光り輝く陽だまりに消えていった。

「あ、あの」

「あれは良くない者ですよ。簡単に手をとってはなりません」

 棘のない優しい声色に、香純は目を白黒させる。こんな美麗な人が現実に存在しているなんて。

 普通ならメロメロになるだろうが…怪しくて反対に恐怖にかられた。

「すいません。通りすがりに見てしまいましたから…」

「あ、いや、ありがとうございます」

「この世の者でない部類が見えるのですね。それに、良くない匂いがする」

「あー、ちょっと…はは…」

 詳細を語るのは野暮なので笑いではぐらかした。


日辻(にっつじ) 天鷹(てんよう)と申します」

 甘いマスクに不信感が募る。未成年と仕事着の男性が二人して公園で缶ジュースを手にしているのはおかしな光景であった。

「私もこの世の者でない部類が見えるんです。それに鼻もきく」

「大変ですね」

 それには同情する。自分自身もそれで大変な思いをして来たからだ。

「えっと…何と呼べばいいですかね」

「あっ、私は多田 香純(かすみ)といいます」

 彼は美しい顏を綻ばせた。

「多田 香純さんですね」

(あ、れ?)

 なぜだか、やってはいけない事をした気がして、ザワッと肌が鳥肌たった。

(あ、私、ミスった?でもこの人も名前を)

()()()()()()()()()()()()()()()()

多田 香純ちゃんが久しぶりに。

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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