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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
キリトリセン(サリエリちゃんの開かず扉の鍵、隠し神編、他)
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かくれが で こーひーを

サリエリちゃんシリーズになります。

 宇宙にホモ・サピエンスが執念の末、生み出した『原子力発電所』など必要あるのか?常に原子がぶつかり合い、創造的な奇跡が起きるのに?

 途方もない時間の向こうに数多の死と生が同席しているのに?

 それでも尚エネルギーが必要だと?

(宇宙人がいる?まさか。いるのはこの世の者でない部類だけだ)

 例え計り知れない巨大な空間に知的生命体がいたとして、彼らは母なる宇宙をどうにかしようもない。

 天文学的な世界ではなく、曖昧な…思想的な宇宙を指しているのだろうか。

 なら何でもありでもある。精神世界ともとれるし、知的集合体の海を指すかもしれない。

 ──人間たちは能動的に人間の力で人口を増やした!技術的にも進歩した!宇宙へも進出している。または地球への配慮を──

 ついさっき吐き捨てた言葉に、宇宙で使用されているモノが人類が発明した技術として組み込まれているのを拭いきれない。負と希望の側面を有した技術。

 いや、卵が先か鶏が先か?

(今はそんなのどうでもいい)

 ──『この世』には天国地獄はなくてね。なぁにもないの。ひどい話じゃない?

 誰かが憂うつそうに言う。

 ──この前、知らない人に天国の話を聞いたのよ?そこには遊園地があって『無明のカルーセル』って呼ばれてるメリーゴーランドだけがあるみたい。ねえ、サリエリちゃん。一緒に行ってみない?

 ──カルーセルしかないなんて、救いようがないじゃないか。

 ──遊園地、行った事ないくせに。

「まあまあ。難しい顔をしないでくださいな」

 ホットコーヒーが二杯。テーブルに置かれた。

 アメリカン。真夜中であると考慮したのだろうか。

 ファミレスとはまた異なる雰囲気を持つ、海外のダイナーに似た店である。

「…僕は炭酸しか飲めないんだ」

「まあ、座っているだけでもいいんです。ここは『そういう場所』ですからね」

 チラリと周りを見やると怪しげな輩ばかり。この世の者でない部類やそれに関係ないした人々がボソボソと会話している。

 アウトローな集会所という訳か。

「さすが」

「ヒドイですぅ」

「ここなら安心してギャビー・リッターの話ができるんだろ?」

 頷くと、お上品にミルクをコーヒーに注いでいく。リクルートスーツ集団は人肉だけでなくコーヒーも嗜むのか。

「ギャビーはいつすり変わったんだ?僕には検討がつかない」

「そうですねえ…今が令和七年なら、十二年前でしょうか。平成二十五年、丁度巳年でした」

「そう…随分前だな」

 人外の時間感覚は曖昧ではあるが、このサリエリ・クリウーチにとっては十二年という歳月は長いものだった。

 必死に天使代理人協会の頂点として日々を過ごしていたはずだ。

「ギャビーはずっと嘘をついていたのに、目もやらなかった」

「コードネームとしてはダッチバーンさんですけどねえ。あ、コーヒーもらいますね〜」

 無遠慮にコーヒーをかっさらわれ、イラついたがポーカーフェイスを取り繕う。

「そんなもんです。現代は個人主義が進んでいますからねっ。ダッチバーンさんもバレないようにしていたんでしょー」

「ああ…」

 まぶたの裏に雑木林が浮かぶ。

 原生林の高い木々が空をおおい尽くして、光が届かない。黒が奥行きにある。

 ザワザワと心の水面下に違和感がある。自分自身にも大切な何かがあったのを、思い出せそうな気になる。

 あの森に似て、果てしない底に大切なものを置いてきた。

(ギャビー…)

「…君はダッチバーンが来る前のギャビー・リッターを、僕に説明できるかい?」

 意図せず食い気味に尋ねてしまい、彼女は純真そうな面をパチクリさせた。

「えっ、ギャビー・リッターさんへの気持ちが残っているのですか?いいですよっ。モチのロンですう」

 ンフフ、と間蔵は下品な笑いで肯定した。

「おまかせあれ」

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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