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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
キリトリセン(サリエリちゃんの開かず扉の鍵、隠し神編、他)
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ねおてにー な ゆうえんちでは

 トーローテレイン・フープは世にいう『kawaii』と呼ばれるキャラクターを眺めながら、鼻歌交じりにマニキュアを塗っていた。kawaiiは日本の文化らしい。その他は存じ上げない。

 しかし日本人は成人が子供向けのコンテンツが好みだと、『外国人』のフープも感じられずにはいられない。

 可愛らしく明るいだけの、狂った施設にはお似合いなネオテニーなキャラクターたちを並べ、毎日を過ごす。それだけでも心の支えになるものだ。

 暇を持て余しているとはいえ、身だしなみには気をつけたい。怠惰になった同僚──イスラァヤのようにはなりたくはない。

「へー、そのくすみカラー。懐かしいねっ」

 いきなり声をかけられ、椅子から転げ落ちそうになった。

「ど、どうやって入ってきたのよ?!?」

「え?普通にセキュリティがザルだったからー。こんばんちは。ジゼル・クレマンです」

 ニッコリと破顔したジゼル・クレマンなる人物は古めかしい制御機器を眺めた。

「なんか埃っぽいなー。ちゃんとお掃除してる?」

「しょうがないでしょっ!安く雇われてるんだから!それに下手に触ったら危険なのっ」

「あらら。可哀想に。でもまあ、そんなものかー」

 えへへ、と子供は笑うとキャラクターたちを見た。

「可愛い〜。趣味が合うね」

「お世辞どうも。出てってよ。バレたらやばいんだからっ」

「別にバレても貴方がクビになるだけじゃない」

 サラリと恐ろしい言葉を吐くものだから、フープは戦慄する。自分がクビになるのは死を意味する。あちらはそれを知っていて、そんな事を言うのだ。

「操縦室の知識はあるの?あれ、タービンでしょ?そんな軽装備で大丈夫なの?」

「何?なんなの?」

「貴方、ここでマニキュア塗ってて大丈夫なの?」

「…くっ〜〜~!!さっきから矢継ぎ早にっ」

 クソガキがっ!と怒鳴りたくなるのを堪えながらも、彼女は息を吐いた。

「一応はあるわよ。停止ボタンくらい押すますう。説明書を読まないと専門的な操作はできないけど…」

「ええっ!大丈夫ぅ?それ〜」

「いいのっ!あたしなんてね、使い捨ての派遣社員なんだから!大惨事になっても助けなんて望んでませーんだ!」

 むつれてマニキュアを乾かした。

「そっかァ…あ、これ。地球で流行ってる飴ちゃん。中から美味しいのが出てくるの」

「マジ!ありがとう!」

 見た事のない銘柄のkawaiiキャンディをもらい目を輝かせる。常に味のないゼリーを食べている身からしたら毒のような品物であった。

「じゃ、お仕事お疲れ様ー。パンフレットもらってくねー」

「どうぞどうぞー」

 キャンディにぬか喜びしていたトーローテレイン・フープは失念していた。『無猟の地』という施設にパンフレットはない。

(んっ?何かおかしー気がするけど、ま、いっか♪)

くすみカラー好きです。

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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