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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
キリトリセン(サリエリちゃんの開かず扉の鍵、隠し神編、他)
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じぶんが なんなのか

「私たち、目が金色になったりするんだなぁ…」

 ミス(Miss)は手鏡を見ながらため息をついた。

 焦げ茶の角膜は日本人に多いアジア系の、ごく普通のものである。金色の瞳は現実で見た事がない。

 生まれついた時はもう少し黒色に近かった気がするが、加齢に伴うものだろうか。

(南闇さん、お腹が空くなんて。そんなに疲れていたのかな。私のせいだったりして)

 しょんぼりして手鏡をポケットへしまう。

 直接的に出ていけとは言われないが、まだ居座っているのは失礼だろうか。自分も頼りっぱなしではなく、家を借りるなり働くなりした方がいいのでは。

「どうかしました?」

「あ、いえ、わたし、早く自立して南闇さんに迷惑をかけないようにしたくてっ」

 バットタイミングで部屋に入ってきた彼は常日頃の笑顔のまま、少し考え込んだ。

「僕は世話をしなければならない義務があるのです。貴方を道に引きずりこんだ。それを償わなければならない」

「いや、でもこの前」

「あれは変な輩の食べ物を疑問を抱かずに口にしたからです」

(ええ…っ)

「それに、貴方には見込みがある。そう多多邪の宮なんていう人が言っていましたよ」

「南闇さんもあの人に会ったんですか!」

 驚いてあんぐりしたが、あちらは気にしていない。

「勝手に。まあ、僕たちからしたらあの人はお偉いさんなんでしょう」

(お偉いさん…確かに。雰囲気がそれっぽいし…)

 自らの祖が何たるか、などを彼は解いてきた。南闇からは自分たちが何者かなどは聞かされていない。

 生態系を存じているかは多多邪の宮くらいなのだろうか。

「ああいう人たちに深く関わるかは貴方の自由です。それを自立というのかもしれませんが」

「南闇さんは知りたくはないんですか?自分たちが何なのか」

「…知った所で何か特になるものがありますか?我々は人を食い、人でない。それ以上でもそれ以下でもない」

「まあ…」

 反論もなく、頷くしか無かった。この世には人でない部類がいるのは確実であり、それ意外はさして変わりない。社会があり天気や季節がある。

「でも少し安心しました。ありがとうございます」

「いえ、何もしていませんから」

 それだけ言うと、彼は自らの日課である骨磨きにとりかかった。

(南闇さんの言う事も正しい。けれども少しだけ、知りたい。自分が何になったのか)

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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