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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
キリトリセン(サリエリちゃんの開かず扉の鍵、隠し神編、他)
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かくしがみ と かんちがい その2

隠し神編の続きになります。

『降ってわいた』ラファティ・アスケラによれば、お香が焚きしめられた部屋に迷い込み──気がつけばここにいたらしい。

 至愚がまたこちらへコンタクトしたいがために、特殊な香を使ったのだろう。なんとも浅ましい。

(あきらめの悪いヤツだわぁ〜)

 パーラムは胸の内で嘲笑うも、目の前の青年は怯えたままだ。たまに森から響く絶叫に挙動不審になっている。

「こ、この空間、何なんすか?!すげー不気味なんですけど!!」

「アタシも知らないね。他人の神域だから」

「えっ!」

「聞こえなかった?他人の神域を使い回ししていたから、んー、まあー、無事に帰れるか分からねえな」

 かつて仲良くしていたこの世の者でない部類の『神域』。定位置から離れず、滅多に散策しないためにこのような場所すら知らなかった。

 どこかに恐れがあったのかもしれぬ。あのひとがいたら、自身は平生でいられるだろうか、と。

「勘弁してください…ああ、至愚さんに怒られる…」

「シャキッとしろよ。グズ」

「ヒイッ」

 情けなく言い訳しようとする偽天使を叱咤すると、面白いように怖がった。サディスティックな気持ちがもたげ、ニヤニヤする。

「グズグズグズ」

「いじめないでくださいよ!」

「なぁー、お前さあ、あんなオンナとつるんでて何が楽しいの?」

 確か徒魚はのちに天使代理人協会になっていた。そこで出会ったとしてもなんと人脈のないセンスを持っている。

「え?!あ、えー、俺はラファエル枠の後任なんすよ…それに、なったのもつい最近だし。知り合ったのも至愚さんも堕天した後で、まあ、成り行きで…」

「ふぅーん」

「ミハル先輩は忙しくて何も教えてくれないし、同期も冷たいし…それに俺、こう見えてもまだ未成年なんで…幼い頃に拾われた身なんです」

 はあ、と疲れ果て、彼は肩を落とした。

「へえ、アタシと一緒じゃん」

「えっ」

「今でいう扶南国(ふなんこく)って所から運悪くこの国に来てしまってね。そんでひでぇ目にあっていたら、多多邪の宮に言いくるめられたんだ」

「は、はあ…知りませんでした」

 ボソボソと返答しつつも彼は白い彼岸花をクルクルさせた。

「上手い話には裏があるんだよ。青年」

「あ、あー、痛感しています」

「ハハハ!なら徒魚に一発かまして逃げるこったな!」

 笑い飛ばすも、どこからかすすり泣く音がする。森の奥から幾人もの視線がして舌打ちした。

「どいつもこいつもナヨナヨしやがって!面と向かってかかっこいや!」

「ヒイッ」

 はっぱを切ると誰かが笑いだした。轟音を立て、カセットテープをま伸びさせたような笑いに、亡霊めいたヤツらもワラワラと逃げていく。

 この世界は泣いているヤツしかいなかった。生贄も苦しみボソボソと許しを乞うていた。

 誰も笑わない森の中で、唯一例外の存在。

「…おい、いるのか?」

 友と慕っていた『神』が。

「いるならなんで今まで隠れてたんだよ?そんなにアタシが憎いか?アタシがあんな事をしたからか?!」

 なあ。

 語りかけても、友は何も言わない。

「…ここ、あの笑ってるヤツの、神域が囲い罠だったりしないですよね?」

「は?」

「さ、さっき笑ってる、訳分からんヤツの…顔が、…天井?に顔があったんですよお…」

「は?あの子の囲い罠だって?」

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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