きれいな パビャ子
「ふぁんになれなかったこども」の客観的視点?三人称的な話になります。
何話か続きます。
「お腹空いたぁ〜〜~」
寒空の下。よさりよなか。
パビャ子はアスファルトに横になり、力無く呟いた。二時間前に野良猫にあげていると思わしきパサパサのキャットフードを貪っていたら、家主が出てきてホウキで追い払われたのだ。
「もう…アスファルト、…食べるしかない、か…」
はあー、とため息をついていると、誰かが体を蹴飛ばし視界で倒れた。躓いたのだ。
「いてえ!?ンだこれえ!?!」
「あ、乎代子!」
「危ねぇだろが!何なん?!」
それもそのはず、夜の暗い道でリクルートスーツが同化していた。廃墟化したアパートに帰ろうとしていた乎代子は分からずに躓いてしまったのだ。
「夜ご飯ちょーだい」
「嫌だね。転んでいてーし、最悪ー」
「ええええ」
早足でアパートに入ろうとする乎代子を慌てて追いかける。
「どうすればご飯くれる?!」
「傷治してくれたらあげるよ、できねーだろうけどなァ!」
ずいぶんと不機嫌な口調で彼女は吐き捨てた。
「分かった!なめてあげるから!!」
「汚ねえだろ!あ!やめろよ!壊死するだろ!!!」
破けたズボンから出た傷をパビャ子は必死になめた。人の血肉は不味くて食えたもんじゃないが──
「ん??!?!うみゃみゃみmmmm」
ベロベロと高速でなめはじめたパビャ子に乎代子は狂気を感じ、焦る。
「どした?!おい!どうしたんだよ!」
「縺ィ縺ヲ繧らセ主袖縺励>?!縺ィ縺ヲ繧らセ主袖縺励>?!縺ィ縺ヲ繧らセ主袖縺励>?!」
「ウワアアアアア!!ギャアアア!!!」
引き剥がそうとしてがんばるも怪力に歯が立たない。
「誰か助けてーーーーーー!!!」
「おい、お前ら何してんだ!」
遅れてやってきたラファティが駆け寄って、二人がかりで何とか引き剥がせた。
「パビャ子…パビャ子が…チ〇ールあげた猫みたいに…」
「え?ええっ…し、しっかりしろ!パビャ子!」
ビンタをかますと、ハッと彼女は正気に戻る。
「あ、あれ?私は誰…ここはどこ…」
儚げな様子でパビャ子は辺りを見回した。いつもの無神経クソ女とは様相が異なる。
「パビ──」
「お、お前は誰もが賛同するような淑女の修道女だろ?!覚えてないのか?」
(えええ)
ラファティが肩をガッシリと掴み、とんでもない偽情報を語り出した。
(コイツ…そーいう性癖なんかよ)
「修道女?私が?服装が違うような…」
「たまたま遠征に向かって帰ってる途中にトラックに轢かれたんだっ」
「えっ、トラックに轢かれて?無傷?」
自分自身の手を見て唖然としている。乎代子はたまらず、これ以上何を吹き込むか分からないラファティを押しのけた。
「すまない。今のは変な男の妄想だよ。貴方の名前は無意味名 パビャ子。さっきおかしくなって、ビンタしたらこうなったんだ」
「むいみな…ぱ、ぱ?」
怪訝そうな顔をしたパビャ子に、別人のようだと不思議な感覚になる。
「ともかく至愚を呼ぶから、私の部屋でゆっくりして欲しい。あとこっちの変な男の言う事は信じるな」
「乎代子ぉ、そりゃぁ無いぜ…」
きれいなジャ〇アン的な字面好き。
汚かったんだ…




