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きがじごく

 深夜二時頃。年末は季節外れの暖かさだが、夜はやはり寒かった。

「お腹空いたぁ〜〜~…」

 ギュルギュルと腹が鳴る。かれこれ三日間食べ物を口に入れていない。

 しかし無意味名 パビャ子は土の中からデリシャスな匂いを嗅ぎつけて走り出した。丘に似た場所からその匂いはして、フェンスを軽々と越えると──肥え太った蛆虫が這っているのを見つけた。

「わあ!」

 空腹に死にそうだった彼女は蛆虫を容赦なく鷲づかむと口に放り込み。

「おいし〜〜~!!!」

 ハッと周りに目をやると大量の蛆虫が這っている。ご馳走だ!

 お腹が鳴り、次々と鷲掴みしては食べる。丸々太った蛆虫とてパビャ子にとっては小分けにされたお菓子となんら変わりない。もっと食べて腹を満たしたい。

「んー」

 そもそもなぜ蛆虫が湧くか?苗床があるからだ。

「あ!」目を煌めかせ、犬のように地面を手で掘っていく。鋭い爪と剛鉄の如く手先は容易に盛土を削っていった。

 すると蛆虫の塊にぶち当たり、パビャ子はさらに顔を輝かせた。

 お菓子が山づみになっているのと同義であり、それを根こそぎ食べ尽くす。腹が満たされるまで食事をしているのに。

 まだ腹が満たされない。あともう少し。

 何か、ガッツリとした物が食べたい。なら死体を頂こう。

 彼女の脳裏には野良猫やアライグマの死骸があった。それならまだ一日くらいは飢えから逃れられるかもしれない。

 しかしまばらになった蛆虫の下からはブルーシートに包まれた物体があった。パビャ子は残念な気持ちになる。

 自分は人間は食べられない。呪いのせいでこの世の者でない部類のくせに人肉は口にできないのだ。

 だから永遠に空腹に悩まされる。

 シートをめくると幼い子供の顔が出てきた。まるで眠っているかのように、腐敗している。誰かが遺棄したのだろう。

 牙の間から涎が垂れた。腹が減っている。もしもかぶりついて美味しかったら──

 パビャ子は溜息をつき、再びビニールを顔にかけてやる。いつか人間が食えるようになれば──自らはこのような仕草はしなくなるのだろう。

 子供の遺体を抱え、近くにあった交番へ訪れる。

「すいませーん」

久しぶりに更新しました。もう12月になっていました。

早いです。

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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