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きつねつき

「俺ァは関与してねえ!!ただ、密売人がヘマしただけだろ?!ンで俺が──ガボボボッ!!!」

 狼人(みだれると)と呼ばれるこの世の者でない部類の種族の一人が、ドラム缶に沈められる。

「はー、だぁから犬っころは困るぜ。オツムが悪くてよお」

 悪党たちが卑下た笑いをもらし、これからこのドラム缶をどうしようかと話し合う。その少し離れた場所で組織に所属した狼人らが震えあがっていた。

 人の姿形を真似た化け物たちは皮肉にも人らしい処罰を好む。

「密売人の名前は?」

 それを他所にとある一人、二十代後半に見える男性がタブレットにまとめられた密売人リストを見ながら問いただす。ズラリと並ぶ名を指でスライドさせ、つまらなさそうに眺めている。すると隣にいた利発そうな男が口を開いた。

「アッター・アンテロープという悪魔もどきです。アイツをとっちめるのは難しいですよ」

「あー、あのクソッタレか…。めんどくさいなあ…つーかその悪魔もどき、て言い方やめてくんね?」

「それは失礼。…しかし例のブツが人の世で表沙汰にならなくて良かったですよ。アンテロープもあの後、小細工をしたようですし」

「人間が吸い出したらそれこそ手に負えなくなるならよ。…アイツは、はーあ。同族として恥ずかしくなるぜ」

 派手なグラデーションのあるサングラスをした人外はワシャワシャとくせっ毛の髪を掻き回した。ここは東京のとある雑居ビル。悪の巣窟の一角だ。

 人間の悪もこの世の者でない部類の悪もどちらも世間の裏で蠢いている。そんな場所である。しかし人側はこちらを知らない。この世には、見ない方がいい暗闇がある。

「ねえ、吸った奴の名前教えてよ〜」

 横からいきなり割り込んできた厄介者に、サングラスは一瞬嫌そうな顔をした。

「何でだ?始末するつもりか?」

「いやぁ?会いに行くだけ」

 ソイツは顔は狐に酷似した獣ではあるが体は人間である。世にいう獣面人(じゅうめんじん)という種族だった。

「止めとけよ。マジ。また俺らが目立ったらめんどくせぇ事になんだよ」

「えぇ?そうかなぁ…♡もう充分、目立ってると思うケド…」

 声変わり寸前の少年のような声色に、利発そうな方が嫌悪感を出した。

吉津(きつ) 子築(ねつき)。口を慎め」

「こんわい。わかった、わかった。変な事は言わないね…?」

 吉津(きつ) 子築(ねつき)と呼ばれた獣面人はニヤニヤ笑うと上機嫌に、あるリストを眺めた。

「洞太 乎代子…ね」

現代社会的な悪い奴らをあまり登場させたくないのですが、今回は新キャラのために書きました。

悪者を書こうとするとチープになりがちなんですよね(汗)

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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