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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
きりとりせん(ミス(Miss)ちゃんと南闇くんの旅、etc.)
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じんおう

「どうあがいても化け物は化け物、人の仕草をしても無駄だぞ!滅べっ!」

 術士が新たな印を組むや勝手にギリギリと首がしまった。恐怖と痛みが襲い、耐えられずに悲鳴をあげる。

(死にたくない!)




 脳裏に父と母が浮かぶ。幸せだった──はずの、あの日々の記憶。団地の、

「…、…めて──やめて、アナタ!手を出さないでっ」

「言う事を聞かないヤツはこうしてやる!」

「やめっ…アナタ!珠希(たまき)と同じようにっ、いや、嫌よ!この子もタマキみたいに死んじゃうわ!離してっ」

「俺はなあ、ガキは嫌いなんだよ!だから!ガキなんて!!」

(──え?)

 父親が見た事のない形相で、こちらを見下ろし首に手をかけている。ハアハアと息を荒らげ、血走った眼球と目が合う。

 これは?

(お父さん…?なんで、くび、しめてるの)

 成人男性の握力は子供には強かった。ジタバタともがくも押さえつけられ、無意味だ。

(し、しにたくない、お父さん、なんで、なんで)

 ミス(Miss)は混乱しながらも視界をさ迷わせた。光がある。煌めく光の玉。あの綺麗なモノに触れれば楽になれる──




「いやあああ!!!」

「──な、なんで──術が──ヒィッ!」

「ガアアア!!!」限界まで見開いた金色にギラついた眼光で、ミス(Miss)だったモノが瞬時に術士に飛びかかる。

 人でない歯牙を剥き、手始めに首に食らいつくと──人黄なるモノにガツガツと必死にかぶりつく。血が噴水の如く飛散し、血腥い臭いを撒き散らした。

 それに呼応するかの如くガタガタと本殿が揺れだし、地震のようにそこだけ暴れ出す。何を思ってか南闇がマジカルシャベルを構え、投擲し、勢い良く壁に突き立てた。

 その場にそぐわぬファンシーな光が炸裂すると、本殿から巨大な馬が飛び出した。

 馬の形をしてはいるものの体毛の代わりに鱗があり、背ビレや角がある。口は肉食獣に近しい。まるでそれは麒麟であった。

 神々しい閃光が林を照らし、かの『疫鬼』は空へ駆けていく。

「わーっ、バイバイ!またねー!」

 精一杯手を振ったヒトリ雨は、マジカルシャベルで頭をぶっ叩かれ気絶したミス(Miss)を眺めた。

「あちゃ〜〜、どうすんのこれ」

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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