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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
きりとりせん(ミス(Miss)ちゃんと南闇くんの旅、etc.)
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とけた、ふういん あかされた、ひとだま

「げーっ、アイツら来た〜〜~!しつこーい!!」

 ヒトリ雨が鬱陶しそうに悪態をつく。

「じ、じゅ、術士?術士っt」

「至愚さんのような生業の者です」

「えっ!」

 炎で明るくなった視界にワラワラと人影が見えた。あれが地元の人なのだろうか。

「ヒトリ雨さん。逃げます?」

「だねー。封印も解けたし、サッサととんずらしちゃお!」

 駒田を背負い、逃げようとしたが──彼女は一定の距離で透明な壁にぶつかったように進めない。

「あー、なにこれ」

「──人黄(じんおう)食いの化け物どもめ!まとめて始末してやる!」

 コテージ群の林から魔女と形容するのにぴったりな老婆が出てきた。白装束と大きな数珠。拝み屋を連想させる。

(術士って人間もやってるの?!い、今、人黄って…)

 ミス(Miss)は獣面人の言葉を思い出した。発音は違えど意味は同じなのだろう。

「あ、あの!教えてください!人黄って何ですか?!」

「何だお前!知らないのか?人黄とは人に宿る魂──生きるための核の事だ」

「えっ…じゃあ、あの人魂は…」

 自分自身が目視していた人魂は人黄なるものだったのか。

 ミス(Miss)は冷や汗がたれ、狼狽えた。

「ともかくミス(Miss)さん。人黄の話は横に置いておいて、術士と交渉しましょう」

「は、はい」

 冷静さを保つ南闇が松明を持ち、鋭い眼光を向ける術士へお辞儀をした。

「僕たちは貴方たちを脅かすつもりはありません。ヒトリ雨さんはこの方を故郷へ還すとおっしゃっています。貴方たちの地域から離れます」

「敵対者を前にしてやけに舐め腐った化け物だな。術士をなんだと思っている」

「術士には敬意を表しています。至愚さんを師にしていますから」

「な、何だと?あの至愚──徒魚さまを存じているのか?!」

 どうやら至愚はかなり有名人のようだ。老婆は警戒心を露わにしたまま、ううむ、としばし考え口を開いた。

「ヒトリ雨のみなら解放してもよいが…その医者の亡骸は無理だ。かの医者はタブーを犯した。人道的なもののみならず、この土地を穢した」

「え〜っ。ドクター駒田は連れていけないのー??」

「来訪者は穢れを運ぶ。医者は化け物以上の存在をこの地にもたらしたのだ。忘れたのか?」

 火事が酷くなり、森が明るみになる。奥に古び半壊しそうな本殿があるのがハッキリと伺えた。普通の神社でないのが、神道に疎いミス(Miss)にも理解できる。

 正面にはしめ縄もなく、扉もない。あるのは気の木目に刻まれた巨大な不気味な文様だけだった。

「…他に方法はありませんかね?」

「お前らの遺体を楔にするのみだ!」

 いきなり術士が手で印を組んだ途端、ピシリと金縛りにあう。

「やりやがったなーっ!インチキ術士ーっ」

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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