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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
きりとりせん(ミス(Miss)ちゃんと南闇くんの旅、etc.)
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てんよう と ただ

「多田 香純さんはそのような生活を…」

 多田 香純は自然と初対面の人に常軌を逸した日常を話してしまった。疲れていたのか、それとも相手がこの世の者でない部類に違いないからか。

(相手も隠す気がないんだろうなぁ…)

 こんなにも容姿端麗で完璧な人間はいない。不気味の谷現象さえ感じる。

「まあ、自分のせいなんで自業自得です。類は友を呼ぶ、って言うじゃないですか」

 自分は最低な人間だ。だから後輩が化け物になり、毎日血抜きや死体の処理を手伝わされる。

 最初から決まっていたのだと、香純はあきらめている。祖母への憎悪を抱いていた時から。いや、生まれた時から。

「…。多田さんは逃げだりしたくないんですか」

 美麗なかんばせがこちらを覗き込んできた。

「分からないです」

「それは判断能力が弱っているだけです。多田さん、一旦、距離を置いてみましょう」

「え?」

「駆け落ちしませんか」

「ロマンス詐欺、ですか?」

 美形すぎる顔面は機械的にかんでいるままだ。話しかけた時から自分自身は餌にされる運命だったのか。

(まぁ、いいや。もう…)

 どんな残忍な殺め方をされても、どうでも良い気がした。生きる希望もない。この先が想像できない。

 終わるならそれで良い。

「ロマンス詐欺なんて。騙すつもりもありませんし、貴方を人身売買にかけるつもりもない。ただ素質を見込んで、試しに遊んでみませんか?」

「えっ…」

 この男は裏社会に足をつっこんでいるのでは?

「…これ以上、虚しい気持ちになりたくないです…」

「大丈夫。虚しい気持ちなんて吹き飛びますよ。手を取ってみませんか」

 手を差し伸べられ、戸惑う。先程のおかしな服装をしたこの世の者でない部類と同じだ。

「…皆、酷い人たちですね」

 手を取り、睨みつけた。すると彼は面白おかしいと素に近い笑みを浮かべる。

「酷い人は貴方もですよ」

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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