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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
きりとりせん(ミス(Miss)ちゃんと南闇くんの旅、etc.)
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ひふがない

「あ、が、が、だ、だずげてぐれえ〜〜」

 夕暮れ時。ミス(Miss)は荒れた道を黙々と歩いていた。

 背丈ほどある草木の合間からおぞましい声がして、ビクッと後退りした。いきなり瀕死の人間が意味をなさない道へ飛び出してきたらだ。

「ぎゃあああ!化け物ですか?!?」

「きゅ、救急車ぁ、だ、だ、ァ…」

 人間らしき物体には皮膚がなかった。綺麗に皮膚だけを剥がされ、そのまま放置されたかのような──

「追い剥ぎにあったのでしょう」

「ええ?!」

 ガン!とシャベルで皮膚を喪失した人間を殴ると、ジッと眺めた。息絶えたようだ。

「ちょっ、ええ?!南闇さん、何してるんですか?」

「晩ご飯にしようと思いました」

「…はあ」

 あっけらかんとした様子に、思考停止するしかない。最近はミス(Miss)が火葬してやり、骨にしてやるのがお決まりになってきた。

 彼からしたら餌を埋めて骨を手に入れるよりお手軽なのだろう。

「しかしどっから来たんですかねえ。誰に先に食われたようですが」

「化け物が他にも?」

 ここの所この世の者でない部類たちに脅かされてばかりで、人がなし得ない所業を目撃すれば冷や汗が滲む。目の前の何でもない事象だと肝が据わった青年とは違うのだ。

「近くにいるはずですよ。生きていたのですし」

「ああ〜〜逃げたい」

「夜ご飯を見逃すんですか?」

「ううっ」

 背に腹はかえられぬ、とミス(Miss)が遺体を運ぼうとした途端、ガサガサと何かが再びやってきた。

「あらー?アンタら同胞じゃん」

 リクルートスーツを来た人懐っこそうな雰囲気の女性が飛び出してきた。

「ひい!」

「怖がんないでよ!他のヤツらと同じにしないで〜」

「ああ、この人は最近、同胞の方に狙われまして。トラウマになっているんですよ」

「そっかー。多分ー、印猫(いんびょう)さまの()()だろうね。見境なさすぎ」

 あはは、とヘラヘラする年齢不詳の女性は怪しさ満点だが、あの少女より幾らかまともに見えた。

(印猫さま…?)

 多多邪の宮なら耳にしてはいるが、印猫なる人物は存じていない。それにこのリクルートスーツを着た化け物たちの規模を知らない。

 ミス(Miss)は不安感にたじろいだ。

「新入り争奪戦あるあるだよ。君たちは印猫さまの手下たちの居場所を知っているの?」

(なにそれ。新入り争奪戦?大学のサークル勧誘みたいな??分からないけど…)

「いいえ。僕もあまり同胞と出会って来なかったので、何も知らないのです。至愚さんから色々聞かされましたが」

「へえー、至愚を知っているんだ?じゃー、アタシも下手に手出しはしないよ」

「ひい!」

「あははは!おもしろー。そういやさ。このひと、食べるの?なら奥にたくさんあるからもらっていって!皮膚しか要らないから!」

 こっち、と草薮を指さし彼女は歩き出した。

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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