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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
きりとりせん(ミス(Miss)ちゃんと南闇くんの旅、etc.)
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どうほう の あらそい

「あああーっ!!」

「グギァ!!」

 いきなり車道に何かが二つ、転がるように落ちてきた。良くある猫の喧嘩かと思ったが図体があまりにもでかい。

 ミス(Miss)は唖然としたが、リクルートスーツを着た者同士だと知りさらに驚愕した。

(いるんだ…私たちの他にも、いっぱい)

 色素の薄い髪をした女が老人を食らっていた──あの少女を取り押さえ、首に齧り付いている。ジタバタしている子供の体躯では敵わず、何か異常事態に苦しんでいた。

「や、やめ──」

「グルルッ」

 金色の双眸に射抜かれ、体が硬直する。あの色は多多邪の宮と同じ──

「この子。僕たちをつけてたんですね」

「え、じゃ、じゃあ!あの二人は?!」

「この人はどうやら止めさせようとしているみたいです」

 適当な言い草で彼はファンシーなコンパクト──ポエティック♡コンパクトミラーからシャベルを召喚すると構えた。

「ちょ、ちょっと!争いはよくないですっ!」

「同胞の中には危害を加えてくる輩もいるんですよ。勉強してください」

「ガルルッ」

 威嚇行為をしていた金色の目の同胞は、力強く子供を踏みつけ痛めつける。何かを示したいのだろうか。

「もしかして…その子、危ないの…?」

「るあーーーーーっ!!!!!」

 ジタバタするも何もできず、少女はわめくだけ。

「…私があの時、髪を結わいたから。ついてきちゃった?」

 咄嗟にミス(Miss)は駆け寄り、その子の額を撫でた。

「ごめんね。勘違いさせるような事をしちゃって、わ、わた──」

「どうするんです?話が通じるとは思えないのですが。嫌な予感がしますねえ、とどめを刺してあげましょう」

「えっ!」

 驚いて動こうとした瞬間、マジカルシャベルが金色の『何か』を弾いた。それは子供の身体から飛び出し、こちらへ牙を剥く。

 ミス(Miss)は超常現象の連続に釘付けで動けない。金色の触手に射抜かれて──しかしソレは白髪の女性に噛みちぎられる。

「ヒッ…」

 あれは瞳の内側に宿る光と同じ。同胞の上位に色濃く現れるエネルギー。

「ミス(Miss)さんは僕がこちら側に引き込んだんです。貴方の()()さんは横取りが趣味なんですか?せこいじゃないですか」

「横取り?!え?え?」

「ママあ!いだあああaaaa!!!」

 訳も分からず、ワタワタしていると金色の光を霧散させ、四つん這いで走り去ってしまった。

「う、…な、なんだったの…」

 喧騒から一転、夜道の静けさが戻ってくる。脱力感に襲われたミス(Miss)を他所に、咋噬 南闇は見知らぬ同胞へ一礼した。

「ありがとうございました。貴方のおかげで、僕の負い目が消える所でした」

 今まで怒りを顕にしていた女性は、人語を発さずフンと鼻を鳴らしこちらを一瞥するなり、野生動物の如く夜闇へ消え入る。どうやら敵意はなかったようだ。

「…よく分からないけど…私は余計なお世話をしてしまったのですね」

「親切は時に厄介事へ転じます。これからは気をつけてください」

「はい…」

 あの子に親御がいた?あの光は?横取りとは?

 問いただしたいのは山々だが、もうこの場から一刻も立ち去りたい。トンネルの灯りにひき寄せられ、慌てて腰をあげる。

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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