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虚無なありきたり 〜別乾坤奇譚〜 ☆litとInsane☆  作者: 犬冠 雲映子
きりとりせん(ミス(Miss)ちゃんと南闇くんの旅、etc.)
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あたらしい うえのもの

 廃墟となった病院では夜間になると、霊安室からゴソゴソと音がする。死体安置の棚からひょっこりと白いスーツを着た少女が現れた。

 昼間はジッと霊安室で過ごしているが、夜型なのでこうして現れる。廊下では同胞たちがトランプ遊びをして盛り上がっていた。

 こちらを見るなり、シンと静まり返り、少女はいそいそと廊下を歩く。同胞たちは自分をよく思ってはいない。

 避けられようとどうでも良かった。上司の秘書として働いていればいいのだから。

 昔からそうだ。昔から…この世の者でない部類になる前から、あの人の隣で淡々と作業をこなしていればいい。

(──いつから)

(いつから──いつまで?いつまで?)

 頭の中でいつまでが居座っている。いつまで?いつまで?いつまでこの()()を味わう?

 …味わっていられる?

 いきなり前触れもなく頂点に立つサリエリ・クリウーチが失脚した。だがたいして頂点が代替わりしても組織は変わらなかった。

 モニター画面を眺める時間。メッセージを振り分ける時間。人を調教する時間。

(そういや、ギャビー・リッターが居なくなったんだ)

 メッセンジャー役の新任は上手くこなしているだろうか。後で見に行かないと。

 少女はこの組織が何のために生まれたかを再確認する。──人類自らの手で希望を生み出す。

(そんなの。絵空事だ)

 今の頂点は口ではそのフレーズを皆に言うが、人間が大嫌いだと『存じている』。だって生前からかの人物を知っているから。

「リヤン様」

 制御室に入るとリヤンと呼んだ女の子に鋭い所作で敬礼する。

「今日も我々が天使代理人協会を取り仕切っていきましょう」

「うん。がんばろう」

 誠実そうな口調でリヤンは答えた。

()()()()()()()()()()()、今日も一丸となって人間を調教しようじゃないか」

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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