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しか は ぬし

反対から読むと死ぬは瑕疵

 咋噬 南闇は珍しく天然の白骨遺体を見つけた。それも迷路のような不自然な建物の中でだ。

 骨は彼にとって食べ物だ。しかし不純物をとり除くためにきれいに洗わなければならない。

 この貴重な食料をどうするか悩んでいると、赤ん坊の不機嫌そうな泣き声がした。

「おや。…この建物のヌシですか」

 角の大きな牡鹿。ニホンジカであるのだが、頭が半分に割れ、目玉が口になっている。──この世の者でない部類。

 化け物のナワバリに迷い込んだこの死体も、ヌシと鉢合わせして攻撃されたのだろうか。

「貴方は骨を食べますか?」

 鹿は遺体を一瞥し、南闇へ視線を移すなりゆっくりと踵を返していった。骨は食べない主義だったのだろう。

「良かった。なら頂いておきます」

 手持ちのトングとゴミ袋を魔法のコンパクトミラー☆から召喚し、静かに慎重に拾う。服装に隠れている場所は汚いのでやめておいた。

 この建物は山奥に突如として顕現した。コンクリート打ちの無機質な様式の迷路。元は何だったのかも分からない。窓らしきものは天井に四角くあるだけで、おおよそ生活ができる仕組みではない。

 家主の残留物もなく、あるのは迷い込んだ人が落としたと思われる物ばかり。

 もしかすれば遭難し遺体となり土に還ったのかもしれぬ。

 あの鹿が居ようといまいと迷宮から出られなくなった人はたくさんいただろう。

 人間が建設したものなのか、ヌシのための空間なのか…真偽は定かではない。そんなものは咋噬 南闇には関係なかった。




「案内してくださりありがとうございました」

 鹿に頭を下げて、南闇は廃墟を後にする。かのヌシは無反応ではあるが敵意を示さず、ノッソリと引き返していく。

 骨を採取したのち、あのヌシが再び現れこちらへついてこいと顎をしゃくったのだ。

 ナワバリから早く出て行って欲しいのか、親切かは不明だがありがたい事だと従う。

 霧深い山の景色を一望すると彼は歩き出した。

 この世の者でない部類同士、穏便に過ごせるのは稀なものだ。今日は意外と良い日なのかもしれない。

山の奥にいきなり用途不明の建物があるとびっくりしそうです。

南闇くんの魔法少女みたいなコンパクトミラーの名称が決まりました!

「ポエティック♡コンパクトミラー」です。

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小説家になろう 勝手にランキング

かなりランキングに向いている作品とは思えませんが、ぽちィーーー!!!としてくれるとマンモスうれピーーーー!!です。

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