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月夜譚 【No.201~No.300】

思わぬ再会 【月夜譚No.298】

作者: 夏月七葉

 こんなところで再会するとは思わなかった。

 突然の懐かしい顔に、思わず動きが止まる。

「あれ? どうしたの?」

 ここへ連れてきてもらった女性に顔を覗き込まれ、我に返った私は改めて正面に立つ彼に向き直った。

 少なからず彼も驚いている様子であるが、私よりは冷静らしい。一瞬目を丸くしたかと思うと、すぐに足を踏み出して近寄ってきた。

「久し振りだなあ」

「――うん、本当に」

 彼と最後に会ったのは、まだ幼かった頃。食べるものが少なくていつも腹を空かせていたが、彼は私に食事を譲ってくれることが多かった。彼も相当に空腹だっただろうに、「お前は身体が小さいから食え」と半ば押しつけるように自分の分をくれていたのだ。

 当時も今も申し訳なく思っているが、ここでならあんな思いはもうしなくて良いだろうし、こうして一緒にいられるなら恩も返せる。

「また会えて嬉しいよ、お兄ちゃん」

 私がそう言うと、女性は私と兄を抱え上げた。

「顔を合わせてすぐなのに、仲良くなれそうで良かった」

 彼女の笑みがとても優しくて、兄妹揃ってゴロゴロと喉を鳴らした。

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― 新着の感想 ―
[一言] まさかの◯◯。 にゃー!
2024/05/19 19:35 退会済み
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