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奇妙な錬金術師は堕ちて来た平凡な転移者です  作者: 弓軸月子


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69 ついでに済ませたい


 街中に掲示板が立ってて、文字でもアナウンスしてるけど、読めない人もいるから、定期的に読み上げる人も来てる。

 新しい国の事もそう。各国の代表者名とか、移住申請の方法とか、お知らせは多い。

 説明所みたいのも設置してて、一日三回説明会が開かれてた。

 各世帯代表者一人は必ず一度は参加してねってアナウンスは音声で。

 そもそも鐘の音は鳴らしてるのだから、国内放送も問題なく機能したみたい。

 おかげでポロポロと先生の家にも製造・複製機を持って人が来始めた。

 玄関先にメンテは午後の対応ですよって看板を立てて、午前中にご近所さんを突撃訪問している。

 不在の家には持って来てねってチラシをポスティング。

 地図にチェックを入れているので、今日中に来なければ明日また訪問して、また不在だったら放置の予定。

 引っ越しの準備中かも知れないし。


「おはようございます! 錬金術師です! 製造・複製機のメンテナンスはお済ですか?」


 玄関先で声をかける度に驚かれるのは俺の装備のせいだろうか。

 でも一目で人間て分かる状態は状態で驚かれるからヘルメットとゴーグルはつけっぱが正解と思ってる。

 バレるんだけどね、人間だって。


「終わりましたー。これで製造・複製機問題ないです。持ち込まなくて大丈夫。もしも誰か来たら、マクシミリアン工房で作業済みって伝えてください」


「まぁ! じゃああなたが噂の人間の錬金術師?」


 噂になってんの?


「はぁ。まぁ、種族的には人間ですけど……」


 ぽん、と派手な色のパンダみたいな奥さんが手を叩く。


「果樹園の人から聞いたのよ! 食品庫の冷えが悪くて。ついでに見てもらっていいかしら?」


 なんて別の修理も頼まれるので突撃訪問があまり進まない。

 果樹園勤務の人たちめ。

 なんか家電ポジションの道具に関してはかなり覚えた気がする。


「風石が寿命間近ですねー。今作ります? だと、場所をお借りしないといけないのと、金額がこれで……」


 頼まれる率が高いので、いちいち先生に電話しなくて済む様に価格表もご用意しております。

 大体その場で済ませたい人が多くて、そのまま机を片付けてもらっての作業が多いかな。

 ふわっと巻き起こる風に感心したりされながら無事終了。


「持ち込むか取りに来てもらうかで錬金術師の人が来る事ってないでしょう? 少しの不調だとそのままにしてしまうのだけれど、助かったわ。ありがとう」


 チャリンとお金を貰って俺も営業スマイル。


「いえいえ、どういたしまして! なにか不具合あれば連絡してください」


「お隣に行くんでしょう? 私が声をかけてあげるわよ! おくさーん、ほら、人間の錬金術師さん! 掃除機の吸い取りが悪いって言ってたでしょう?」


 いや、俺、製造・複製機のメンテナンスしに来てんだけど?

 と俺の驚きには気が付かないふりか、お隣の奥さんも、


「まぁぁぁぁ! 助かるわぁ」


などとドアを開けながら言うのだから断れもせず。

 マクシミリアン工房、日々小銭を稼いでおります。

 最初の頃こそ先生が対応可能な人数を超えていた来訪者も落ち着いて、午後は別の作業。

 予定は未定と言うだけあって、こうしよう、と思っていた事が、状況によって変わる事がある。

 イーダの家に泊めてもらう予定だったんだけど、水の国なら空いている場所に車を停めても誰も文句は言わないらしいので。


「イブキ、住居にするならバスルームとキッチンの水回りは固めた方が処理が楽だよ」


 旧全身タイツ部隊の拠点でキャンピングカーを制作したりしてる。

 ちなみに全身タイツ部隊は解体されて、警備員と警察を足して二で割った様な組織になってる。

 衛兵とか傭兵とか憲兵とか、多分そんな言葉で言い表されているのだけれど、相変わらず違いの分からない俺です。

 そんな感じなので、正しくは間に入ってもらって制作依頼を出してる。

 本日俺の相手をしてくれているのはシュテファンさん。

 まだ小さいから通常業務はできないけど、中身は大人なのでこういう時に重宝されているらしい。

 いや、多かったんだよ、引っ越し荷物が思いの外。

 当たり前に料理とか家事とかできないし、そうすると家事室セットが必要不可欠。

 食品庫に食洗機、洗濯機、自動掃除機に製造・複製機。

 錬金術用の製造・複製機をもう一台。

 付随して工具とか、皿とか瓶とか必要最小限必要だし、作業用のテーブルも必要だ。

 錬金素材は水の国でも拾えるし、塔まで行けば買えるから必要量以上にストックの心配をしなくていいのは助かった。

 本とかの紙類も多い。

 日本語翻訳用の辞書、水の国用に各種獣人語辞書、錬金術用の辞書、各種設計図、などなど。

 これも、これも、と必要な物を複製してたんだけど、持てない重さの箱がすでに三箱。

 逆に普通の服とか細々した日用品はトランク一つで済む感じ。


「これだと小回りが効かないから日常生活用に下の倉庫スペースにゴーカート入れるだろう?」


 ゴンゴン、と二階建てバスみたいなキャンピングカーを叩くシュテファンさん。

 また荷物が増えるけど、キャンピングカーから別の乗り物が出て来るって、ちょっと戦隊モノっぽくてワクワクしたりして。


「後ろからスロープ付けて出すか、横からスライド? 横方向と下方向に同時にこう……」


 なんていうんだろう? 引っ張ると降りてくるヤツ。

 言葉が分からないので絵に描いて説明してさらに混乱を誘いました。

 ごめんごめん、大人しくスロープにします。

 一階分もないけれど、ゴーカートが入る高さで設定した地下部分は倉庫で、基本的に仕切はなし。

 住居階の家事室からも行けるけれど、外からも開く仕様。

 入口は階段を登ってすぐに運転席な路線バススタイル。

 運転席はベンチシートにして隣にも人が座れる様にした。

 奥に向かって、なんか飯食ったりゴロゴロする部屋と家事室、風呂場。

 家事室の前に二階に行く階段を作って、運転席側が錬金術部屋、後ろが寝室。

 なんか失敗して爆発とかしても影響を最小限に抑えるために、壁とか床はせっせと錬金術で作って支給。

 組み立てはお任せで。

 内装はちょこちょこやってくかなぁ。

 住んでみないと分からない事が多そうだし。

 俺の装備もそうだけど、思ってたのと違ったってのは結構あって、今でもこれで完璧、とは思えない。

 先生はそういう物だなんていうけれど、完成された物もあるわけで。

 愚痴ったら、


「続ける事、諦めない事」


なんてお言葉を頂戴した。

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