表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奇妙な錬金術師は堕ちて来た平凡な転移者です  作者: 弓軸月子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/111

64 異世界人チート詳細不明


 翌日、予告通りマティルデさんがやって来た。

 昨日のダメな空気を思い出しつつ、何となく始まる作戦会議。


「物自体は作れそうなんすけど、あんまり俺が作るのってよくない?」


『作れたんですか?』


「作れちゃいましたねぇ」


 実は昨日の夜に、箱に虫が入ってくれるか実験、は済んでいる。

 手のひらに収まる程度の小箱だけれど、入ったんだか入ってないんだか分かんなくて。

 俺に見える粒粒は魔法発動準備完了の粒粒で、虫本体ではないんだなぁなんて改めて思った。

 それでイーダを呼びに行って、先生にバレて怒られたんだよねぇ。

 危ないから人手が多い時に安全を確保して、って言われてたんだけど。

 気になっちゃってこっそりやったんで。

 怒った先生は相変わらず怖かった。

 暴発して家が壊れたり誰かがケガをしたら責任をとれるのか云々。

 可愛い顔で精神的にくる怒り方をするから毎回反省はしてます。


「音楽が内緒ってのは分かってるんすけど、そこは音を最小限にすればいいかなって」


 俺の耳に聞こえないくらい優しーく弾いても粒粒は出た。

 だからポンチョの中で演奏しつつ、適当に日本語で、箱に入ってくださーい、とか言ってればいいかなって。

 けど、みんなには普通に聞こえるみたいなんで、一般的な獣人さんには聞こえちゃうのかな?

 それなら音楽っぽさも最小限に三音で伴奏的なヤツならどう?

 声は大きめに、ついでに先生みたいに足をタンタン。

 ポンチョに遮音加工して正面だけ開けたらどうだ、なんて実験しつつ。


『そうじゃない!』


 ある程度まとまりかけたところで先生が我に返った。


『イーダに研究をして欲しそうにしていたり、イブキに出来ないかと期待した理由を知りたい』


 気になっていたらしい。

 ビアンカさんの状況も悪くなく、権力が欲しいくもないだろうになんでだ? ってのが先生の疑問。

 できそうだな? って思っただけだと理由にならないのかな?

 ついでに俺にも断る理由はないですよ、とぼそっと呟いて睨まれたので目を逸らす。

 だって難しい話になるんでしょ?

 案の定、マティルデさんからイーダと先生に向けて小難しい説明が始まった。

 俺が聞いてた話だと、ビアンカさんは今、人間だから偉いとかもないし、王族との取引用に守られるとかもない。他の王候補と、とてもフラットな関係らしい。

 国を分けましょうって話になった時に、領主の娘だったしそれなら私が代表をしますよって立候補したんだって。

 反対意見がでなかったし他に立候補者がいなかったから選ばれただけ、なんて笑ってた。

 別に人望があるとか、実績があるとかじゃないって言っていたけれど、そうでもないと思う。

 旧王族のすべてがダメだったわけではないから、ある程度旧王族の知識も必要だろうし。

 実際、ドミニクみたいな例もある。

 前の政策に疑問がなかった人もいるわけで、そういう人は引っ越してきたらいいとか言ってたな。

 王様とか大統領よりは、都道府県知事とかのが近いのかな?

 ただの高校生からしたらどれもなにをやっている人なのか分からなくはあるけど。

 全身タイツ部隊からも二人選ばれているし、話を聞く限り新しい国の代表者同士の関係は良好そうだった。


『切羽詰まっていないからこそです』


 要するにどの国も足並み揃えましょうねって話だと思うんだ。

 製造・複製機は中央国で生きるにあたって必要不可欠っぽいもんね。

 旧王宮に一台しかなかったそれの独占権? とかそういう争いの種の排除? が目的みたい。

 今じゃなくて未来の話で、対価にむちゃな要求をしたり、支配したりがない様にって事かな。

 すでに揉めてたら普通に作って欲しいって頼んだと思うと言われて、俺にはその方が分かりやすかったな、なんて思う。不謹慎かもだけど。

 対策は始まってて、連合国の新組織って感じで、国の承認だけじゃ動かせない組織とかも作るんだって。

 通信部門もそうだし、錬金素材や燃料として必要な隕石の管理とかが該当するみたい。

 塔がある国ばかりに人が偏るとか? 俺に思いつくのはそれくらいで、危機感までは持てない。

 そんなに分かりやすく説明できる様な仕組みってのも困るんだろう。多分。

 俺に影響がなきゃそれでよし。

 結局、今のビアンカさんには内密に処理するみたいな行動がとても不利に働いてしまうって話なんだと思う。

 出し抜かない、騙さない、裏切らない。

 そういう当たり前を、当たり前にするためにも、ビアンカさんは隠し事とかしたくないんじゃないかな。

 じゃあ嘘はつかないで、共有したくない事は話さない。

 シンプルにそれだけでいいんじゃないの?


「見たら俺が人間で、旧王族の人っぽくないのは丸わかりですよね? なら堕ちて来た人間てのは分かるだろうし」


 みんなの心配は有難いけれど、悪い事をするわけではないんだし、黙っているのは音楽の事だけでいいと思う。


『そうだね。普通に王候補全員に挨拶をして、作業中は前回の暴発を理由に退室させればいい』


 イーダから同意を貰ったところで先生の発言。


『他の錬金術師はどうする? 見学者は退出させられないと思うよ?』


 あー。作れるなら自分で作りたいもんな。

 今回は実験です、なんて言ったところで、成功したら今後の立ち合いを希望されるだろうし。


「他の錬金術師ってどんな感じですか?」


『全員道具特化で五名です。特にビアンカさんとは関係がありません』


 ビアンカさんからの口止めは無理ってことね?

 しかも、その内の一人が通信部門のまとめ役らしい。

 うん。会ってるよ、俺。

 物凄いデキル人で、びっくりする速さで設計図を改良して簡略化してたよ?

 めっちゃ面倒見が良くて全部説明してくれて、これからも頑張ってね、なんて頭を撫でられました。

 ますます隠せなくない?


『錬金術師には再現が難しいと理解して頂ければ宜しいかと。心配なのは囲い込みですね』


 それは俺が気が付かない内に誰かの所有物みたいになってしまう事への心配で。

 現状ビアンカさんが囲い込んでる様にも見えているって話だった。

 囲い込みったってなぁ。

 なんとなく、で居る俺も悪いと思うんだけど。

 今後の身の振り方とかはまだ決めてない。

 でも、行きたい場所ならあるな。

 それに。


「俺、中央国には滞在許可証を貰ってるだけですよ? 身分証明は水の国で発行してるからそもそもこの国の人間じゃないのでは?」


 首から下げている身分証明をずるっと引き出したら全員の目が一斉に俺に向けられた。


「うん。ウーヴェにも会いたいし、面倒そうなら一度水の国に帰ろうかな。イーダん家泊めて貰っちゃだめ?」


 するり、とイーダが俺に巻き付いて、


『歓迎する』


と、了承してくれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ