【Eパート】
おまたせしました。
次回、最終回です。
「待たせたな! レッド!」
「ブルー! 来てくれたか!」
現れたのは恐らくブルーだろう。
『だろう』と言うのは彼の見た目に理由があった。
何故なら彼は赤井のスーツとは全くデザインの異なる――いや、完全に別物と言ったほうが正しい鋼鉄のパワースーツを着ていたからだ。
「フリーダムブルー改め、アメリカの守護者! ハイパーグッドマン! 参上!」
上半身に蜘蛛の巣を鋼鉄のスーツを装着し、右手にハンマー、左手にアメリカ国旗を模した盾を装備した、半ズボンの男。
それがハイパーグッドマンである。
「いや! おかしいだろ!」
そのツッコミどころ満載のデザインに、薫は遠慮なくツッコミを入れる。
「戦隊なんだろ!? 統一感ゼロじゃん! なんで、スーツのデザインどころか、ヒーロー名まで全然違うんだよ!?」
「俺は祖国でIT企業の社長兼別のヒーローとして活動してるんだ。で、スカウトされた時、この姿で戦っても良いって言われたから」
「やっぱり、慣れないスーツよりも使い慣れた武装の方が戦いやすいからな」
「正論だけども‼ せめて色で統一感を示せよ! あと、なんで半ズボンなんだよ!?」
「経費削減して、残ったお金は社員のボーナスに回した。大丈夫、多少のことでは破けないから」
「そう言うこと気にしてんじゃないんだよ!」
その時、大地を揺るがす黒鉄の巨人が姿を現した。
『フリーダムイエローとその愛機・機動魔神ゲッタリオン! ここに参上!』
「イエロー! お前も来てくれたのか!」
「いや、ちょっと待てぇぇぇぇぇ‼ なんで、イエローが一人でロボ操縦してんの!? ああいうのって、五人で協力して動かすんじゃないの!?」
戦隊のお約束を悉く外してくる自由戦隊。
だが、そんな疑問にも、レッドはちゃんと答える。
「あぁ、イエローは本業パイロットなんだよ。で、あれはイエローの私物なんだ」
「私物!? 私物なのあれ!?」
『こ~んにちわ、ボク、ゲッタリオンです』
「しゃべった!」
突如響いた聞き覚えのあるダミ声(特に金曜19:00頃によく聞いた)であいさつするゲッタリオン。
え? こいつ、喋るの!?
「ゲッタリオンは未来の国からはるばる、イエローの家庭問題を解決するために来たんだ」
『そうだよ。イエローをお父さんと仲直りさせないと、地球が壊滅して、僕のおこづかいが50円になってしまうんだ~』
「それ、主に自分のためじゃない? なにお前、地球の平和より自分のこづかい優先!?」
って言うか、イエロー、戦隊なんかやってる場合じゃないだろう。
ちゃんとお父さんと腹を割って話せ。そんで仲直りしなさい。
そんなこと考えたら、件のお父さんから通信が。
『おい、シンヤ! じゃなかった! フリーダムイエロー! なに勝手にゲッタリオンを動かしてる? それは地球防衛軍のものだ! 操縦するならフリーダムロボにしろ!』
「うるさいな! フリーダムロボは5人じゃないと動かせないんだ。それなら俺がゲッタリオンで出撃したほうが効率がいいだろう!」
『貴様! 親に向かってなんて口の利き方だ!』
「仕事に家庭事情を持ち込むな。それでも司令官か」
『まぁまぁ、シンヤ――イエロー君、落ち着いて。パパさんもいい加減、昨日、プリン食べたことを謝ろう。それが原因で地球が壊滅するかもしれないんだから~』
「そんな理由で地球壊滅すんの!?」
と言うか、親子喧嘩は他所でやれ。
やいやい、言い争いをする二人から視線を外すと……
「御仏の名の下に悪を滅する」
「また、なんか出てきた」
いつの間にか現れた、エメラルド色の猿のような姿のヒーローが物騒なことを言っていた。
「フリーダムグリーン、またの名を、爪猿! 悪しき妖魔は我が退治する!」
「フリーダムグリーンは退魔一族の家系で、古くから悪霊を退治して回ってるんだ」
「御仏を信じぬものは死、あるのみ」
「やばいこと言ってるんだけど?」
発言がちょいちょいヤバすぎて、まったくヒーロー味が感じられない。
「まぁ、俺たちは自由戦隊。宗教の自由を守るのは基本中の基本だからな」
「自由過ぎません? 自由過ぎて全くの別ものになってない?」
否、完全に別物である。
「さて、5人揃ったところで、みんないくぞ‼」
『応ッ‼』
「え!? 5人!? 4人じゃなくて?」
「そうだ。俺とブルーことハイパーグッドマン・イエロー・グリーンこと爪猿、そして……」
「私、マギブランことピンクです」
「お前かい!」
もう、次はどんなイロモノが出てくるかと身構えてたら、既に出ていたあとだった。
「って言うか、ホワイトって自分で言ってんじゃん! せめて、色は揃えろ!」
「大丈夫だよ、薫君。赤と白が『交わる』とピンク色になるから」
「なに言ってんのお前!? いや、その通りだけど『交わる』を強調するなよ! なんか意味深に聞こえるだろう!」
「そうだよ。この時間帯に【ピンクな裏事情】は勘弁してくれ」
「お前も言うな‼ 言わなきゃバレないだろうが‼」
「大丈夫ですよ、赤井さん……私は既にあなた色に染まってますから……」
「染まるって言うか返り血浴びてんじゃん‼ ピンクじゃなくて血で真っ赤になってるよ‼」
「でも、貴方は私色に染まってくれない……私はこんなにあなたを思ってるのに……」
そう言って懐から包丁を取り出すマギブラン。
その目は変身ヒロインにあるまじき、ハイライトのないものである。
「やめなさいって言ってるでしょうが‼ 日曜の朝から見せられなくなるからね‼」
「とにかく、これで5人揃ったんだ! 覚悟しろ! ジョーカー‼」
「お、おのれ! 一戦闘員にここまで、ヒーローが集うとは! だが、こちらにも切り札がいる! 行け! 最強の怪人! キャプテン・クローバー‼」
そう言って、高らかに叫ぶジョーカー大首領。しかし……
「……あれ? キャプテン・クローバー?」
呼んだにも関わらず、返事すらない。
不審に思い、振り向くと、そこにキャプテン・クローバーの姿はなかった。
『退職します。探さないで下さい』
代わりにあったのは、書置きだけであった。
「あの野郎ぉぉぉぉぉ! 逃げやがったぁぁぁぁぁ‼」
しかも、よく見れば他の戦闘員や怪人もいない!
完全に敵前逃亡である。無理もないが。
「ふざけるなよ!? え!? このタイミングで普通逃げるか!? えぇ!?」
「いや、普通は逃げるだろ」
なんせ戦隊やら宇宙の警備隊やら婦警やら変身ヒロインやらが勢ぞろいなのだ。
普通なら逃げる。超逃げる。勝てっこないもん!
一人残され慌てふためく大首領。対してアイコは腕を組んで、勝ち誇った笑みを浮かべる。
「さぁ、年貢の納め時だ! 正義の名の下に、滅ぶがいい」
「お前はなにキャラだよ!?」
「ごめんちゃい」
「まったくもぉ~」
「調子にのるな‼ おのれ、こうなれば……‼」
調子に乗りまくる一介の戦闘員にツッコミを入れる薫。
そんな態度が癪に障ったのか、大首領は遂に最終手段をとった。
「貴様らを全員、この場で滅ぼしてくれる! 現れよ! 我がジョーカー最終兵器‼」
そう叫ぶと大首領は魔法陣を展開。
そこから巨大な生物が召喚された。
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むしろ、両方やってください!
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