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作戦会議


「でね!半年で好きになってもらえる方法を一緒に考えて!」

翌日の昼ごはん時。ハンナにお願いする。


「落ち込んでいるかと思えば。あんたのその前向きというか、真っ直ぐなところ好きよ」

ハンナが笑ってくれる。


「でもなんで半年?」

「長すぎたら、ダメだった時にレオンを解放するのが遅くなるし。私も長期戦になりすぎたら心がもたないかもしれないし」


「それにソフィアの誕生日もそのあたりか。区切りとしていいかもね。両想いになって、めでたい誕生日にしよう!」

そうだ、半年後は私の24歳の誕生日もある。


「やだ!ダメだったら最悪の誕生日じゃん」

自分で決めた期日だったが、真っ青になる。

「ばか!そんなことにならないために頑張るんでしょ」

「ハンナ…」

力強い激励に目を潤ませる。


「で、どうする。何か思いついている案はあるの?」

「…ない」

力無く、うなだれる。


正直半年で好きになってもらえる方法が思いついていたら、とっくに使っている。

18年以上一緒にいたのだ。


…18年も一緒にいたのに、私は何をしていたのだろう。

自分で考えて、またへこむ。


「ストレートに告白は?したことないんでしょ?」

「むりむりむり!告白して振られたら立ち直れないし、そこで終了じゃん!」

ハンナの提案に激しく首を振る。


「そこから始まるかもしれないわよ。世の中には何回も告白する人もたくさんいるわよ」

「そうだけど…」


私とレオンは仮にも結婚しているのだ。

振られたらその時点で離婚しなければいけない気がする。

というか、はっきり振られた後、今まで通り同じ家で生活できる自信がない。


ハンナもうーんと唸る。

「でもさ、結婚しているわけだから、ソフィアのこと普通に好きだと思うのよね」

「えっ?!」

ハンナの言葉に動揺する。


そんな私を見て、ハンナが慌てる。

「ごめん、期待させて。恋愛かはわからない。少なくとも人間的にってことよ」

「あ、ああ」

動揺してしまった自分が恥ずかしい。でも、

「人間的に好いてくれているのかな?」


私的にレオンの中でも自分は良くも悪くも普通だと思っていた。

一緒に暮らしてくれるくらいだから、嫌われていないとは信じたい。

しかし結婚前はしょっちゅう口喧嘩していたことを思うと、好いてくれているとまでポジティブに捉えられていなかった。


「そらそうでしょう。さすがに結婚ってなったら多少好きな人間とじゃないとむりよ」

「それもそうか…」

自分では思いついていなかったことなので、つい喜びがあふれ、にやにやしてしまう。


「だとしたらよ!人間的に好きなのに恋愛的に足りていないことは何かってことよ!」

ハンナに言われ、にやにやが止まる。

足りていないという言葉にガツンと攻撃をくらった。

たしかにそうだ。何かが足りていないのである。


「幼馴染感が強すぎるのかしら。あるいは喧嘩友達というか。本音で言い合える関係っていうのは素晴らしいと思うけど」

「それはあるかも。小さい頃からなんでも言い合える仲として一緒にいたし、レオンにとって私は男友達に近くて恋愛をする相手として意識されていないかも」


うっ、自分の冷静な分析が自分に刺さる。

思わず胸を押さえる。

ハンナがふむ、とうなずく。

「何か今までと違うギャップを見せて、ソフィアのことを強く意識させるべきね」


「ギャップ…」

そもそもレオンに私がどういう雰囲気で認識されているかわからない。

男友達っぽいと思われているなら、女の子らしいところを見せたらいいのだろうか。


それとも、幼い頃からできないことがあるとレオンに頼ってしまうことが多かったから、頼れるところを見せるべきだろうか。


悩んだハンナが私をじっと見る。

「今まで見せたことがない特技とかないの?」

「ううん。あんまりない上にほとんど見せているかも…」

なんせ長い付き合いである。


思いつかない。

しょんぼりしかけたが、脳裏をかすめるものがあった。

「あっ!!あったわ!ひとつだけ見せたことないものが!」

立ち上がって、ハンナに力強くうなずく。


そうだ!私の特技をレオンに見せようではないか!



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