18年前の約束
私の好きをとにかく詰め込みます!
ハッピーなお話にしたいなと思っています。
ゆるく楽しんでいただけると嬉しいです!
目の前にいる頭ひとつ分背の高いレオンを見上げる。
「覚えているわよね?!たしかに約束したわよね?!」
アイスブルーの瞳をすがめて、彼がため息をつく。
「覚えてるっちゃ覚えてるけど、子供の頃の話だし今更だろ。むしろソフィア。お前が覚えていたことに驚きだ」
「ほら!覚えているのね!!今こそ約束を果たして!」
もはや目を血走らせて言う私の勢いに、若干引いているようだ。
だが、そんなことは構っていられない。
「ねぇ、婚約者とか付き合っている人はいないんでしょう?!幼馴染を助けると思って!」
胸倉を掴むように詰め寄る。
「助けるって、お前分かってんのか?」
急に真剣な声音で言われ、少し勢いが止まる。
「何が?」
「結婚だぞ?一時的なものじゃなくて、これからの人生、ずっと俺と生きていくことになるんだぞ」
「分かってるわよ…」
レオンの言葉につぶやく。
そう、分かっているからこそ、レオンにお願いしているのだ。
レオンがこの話をのんでくれるかどうかで私の人生は大きく変わる。
気を緩ますと震えてしまいそうな拳を握りしめ、レオンの返事を待つ。
「お願い、私、イヤなのよ。女好きのメルヴィルの嫁になって、べたべたされて。大好きな仕事も取り上げられて、家で彼をじっと待たないといけないなんて」
レオンはじーっと私を見つめる。
「その点レオンは私に興味がないから、私が仕事しても怒らないでしょ?それにあなたなら私のことよく分かってくれているし、お父様たちも納得すると思うの」
尚も言い募ると、レオンは深くため息をついた。
「お前は俺のことあんまり分かってなさそうだけどな」
「えっ?」
小さくつぶやいたレオンに聞き返したが、それには答えず、レオンが口を開いた。
「分かった。たしかに18年前結婚するって言ったしな」
「それじゃあ…!」
期待に満ちた眼差しで彼を見上げる。
レオンのアイスブルーの瞳が私を見つめる。
彼は小さく息を吸うと、望んでいた言葉を告げてくれる。
「結婚しよう」
私が言わせたのだが、18年越しに聞くその言葉の破壊力に思わずごくりと唾を飲み込む。
「ありがとう、レオン」
18年前、まだ私達が5歳の頃。
今と同じこの丘で、シロツメグサの冠を作ってくれたレオンとした無邪気な約束。
「私、レオンと結婚したい!」
レオンはそれに驚いた顔をしてから
「うん。大人になったら結婚しよう」
笑って、指切りをしてくれたのだ。
その後まさかレオンが口を開けば嫌味を言う、喧嘩相手になっていってしまうとは想像もしていなかったけど。
そしてまさか私も、18年前の子供の口約束を盾に結婚を迫る女になってしまうとは思ってもみなかったけど。
だけど私はあの日から、いやもっとその前から、
ずっとずっと
どうしようもないほど
レオンが大好きなのだ。