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秋冬の甘味、思い出の味

作者: 西順

 令和にもなると、街を歩けば右も左も菓子屋が目につく。チョコレートやケーキは勿論、プリンにマカロン、シュークリームにフィナンシェ、マドレーヌ、クッキーなどなど、洋菓子だけでも目移りする種類があり、これに和菓子を加えれば、羊かん、饅頭、どら焼き、煎餅と多種多様である。


 店の数自体が増えたと言うのもあるし、客がそれだけ舌や目が肥えたと言うのもあるだろう。昔はこうじゃなかったとは言わないが、昭和の田舎では中々手に入れられなかったと言うのはあるだろう。


 田舎で甘味なんて言ったら、夏はスイカやマクワウリで、秋にはブドウに栗やサツマイモ、柿など、菓子と言うよりは、果物をそのまま頂く事が少なくなかった。


 加工するにしても、干し柿にしたり、焼き芋にするのが主で、スイートポテトなんてものは、都会から引っ越してきた家の子に招いて貰った時に頂くご馳走だった。


 家では爺ちゃんがサツマイモを育てていたので、秋の収穫時期になると、家族で干しいもを作っていたのを思い出す。


 現在では一周して美味しい干しいもが出回っているようだが、昭和の干しいもは完全に保存食で、収穫したサツマイモを丸ごと蒸して、熱いうちにその皮を剝いて5ミリ程の厚さに切ったら、それから天日干しにするのだ。そうすれば干しいもの完成で、最初は柔らかかった干しいもも、何日か保存しているうちに水分の抜け切ったカチンカチンの干しいもとなり、干し柿同様に秋から冬のお供として家で食されるようになる。


 冬になると雪かきが始まり、毎日玄関から道路までの雪かきをやらされ、休日には屋根の雪下ろしだ。そうして冷えた身体を暖める為に、家の中には石油ストーブが置かれているのだが、そのストーブの上でカチンカチンの干しいもを焼くと、不思議と柔らかく、そして香ばしくなるので、これをかじりながら、コタツに入ってブラウン管のテレビで音楽番組やバラエティ、ドラマなんかを観て過ごすのが、冬の定番だった。


 令和の今となっては、実家にも融雪施設が導入され、雪かきの苦労は昔程ではないのだとか。それでも暖を取るなら石油ストーブが良い。と両親は今でも使っているそうだ。


 こんな事を書き連ねていたら、干しいもが食べたくなってきたから、ふるさと納税でも頼もうかなあ。とサイトを漁る。


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