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婚約破棄された。なので押し倒して差し上げます

「クレア・アーノルド。あなたとの婚約は破棄させてください」


 私にそう告げたのは、見知らぬ美少女でした。

 場所は第一王子ルイス・ウィザーズ様の執務室。


 はて、と私は首を傾げます。

 伯爵令嬢である私は、婚約者のルイス様に呼ばれてここに来ました。

 なのに、どうして本人がおらず、こんな綺麗な子に婚約破棄を告げられねばならぬのでしょうか――。


 いえ。

 よく見ると、これはルイス様なのではありませんか?

 ウィッグをかぶってメイクをしているせいで印象がかなり違いますけれど。着ているのも女性のドレスですけれど。

 しかし一度気づいてしまうと明白です。


「あの、ルイス様? なぜ女装をなさっているんですか? いえ、とてもとてもお似合いですが」


「似合っていますか!?」


 私が尋ねると、ルイス様は質問に答える代わりに、パッと明るい笑顔を浮かべました。

 それからすぐに赤面し、スカートを握りしめてモジモジ。


「ええ、とても可愛らしいです。しかし……」


「実はボク……昔から女の子の恰好をしたかったんです! もう我慢できません! 今日からボクはこの姿で生きていきます!」


「ふぁっ!? 服装は人それぞれですけど……第一王子なのにそんな自由があるのですか? 国王陛下はなんと?」


「父上がなんと言おうが関係ありません! ボクは可愛いドレスを着て、髪を伸ばして、メイクしたいんです!」


 ルイス様は断固たる決意が感じられる声で叫びました。

 もう逆に男らしいです。


「けれど、クレアさんにはご迷惑をかけられません。いえ、婚約破棄されたという記録が残る時点で迷惑をかけていますが……とにかく、女装趣味の王子が婚約者だなんて、クレアさん個人にとってもアーノルド伯爵家にとっても汚点になるでしょう。今なら間に合います。クレアさん、どうかボクと婚約破棄してください……!」


 ルイス様は私に詰め寄り、つま先立ちになって私と目線を合わせました。

 なんて……なんて綺麗なお顔!


 私は十七歳で、ルイス様は十四歳。

 もともと私は姉のような気持ちで接してました。

 ずっと可愛がってきました。


 けれど私はルイス様に秘密にしてきたことがあるのです。


「もう我慢できないのは私も同じです!」


「クレアさん!?」


 私はルイス様を絨毯に押し倒す。


「申し訳ありません。実は私、女の子が気になるんです。他家の綺麗な令嬢と会うたび、いけない妄想をしていたんです。ルイス様は女性のような顔立ちなので我慢できると思っていたのですが……もはやそれどころではありません! むしろ我慢できません! ああ、私は今、真実の愛に目覚めました! 今まで見てきた人の中で一番綺麗ですよルイス様ぁぁぁっ!」


 こうして私ことアーノルド伯爵家の長女と、ウィザーズ王国の第一王子は結ばれました。

 沢山の子供に恵まれました。主に私のせいで。

 ルイス様はドレスを着たまま無事に王位を継承し、国を大いに発展させました。

 けれど、外交で訪れた他国の人たちは、どちらが国王で王妃か混乱したんですって。

 外見だけでなく内面も女性らしく調教して差し上げましたからね。

 うふふ。

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