第九話 自業自得な勇者
どうもピースです。
みなさんはナチュラルSのミラ、精神的に追い詰めるのが好きなソフィア、絶対的Sのアリス、誰が好きですか?
私なら全員行けますと言う猛者の方は、勇者と代わってあげてください。
目の前に迫った拳は巻き戻されたかのようにまた振り上げられる。
「ねぇソフィア」
「なんですか」
いつの間にか近くにソフィア達が来ていた。
「どこまでやって大丈夫?」
「魂を傷つけなければどんどんやっちゃってください」
「わかった」
不穏な会話を聞いた後、顔面にとてつもない衝撃が伝わる。
「まって、これはまじでやばいって!」
俺を無視してミラは何回も殴りつける。
「えい、えい、えい」
可愛い声とは真逆に、一発一発が意識を刈り取り、ついに意識を失ってしまう。
「女神様?」
ぼんやりと目を覚ますと女神のような女性が微笑んでいた。
「おはようございます。女神様じゃなくてソフィアですよ」
回復魔法を使ってくれたのか、ソフィアの青い瞳が輝いている。
「あ、目覚ました?」
声がする方を向くとミラが拳を振りかぶっていた。
「まて!ミラ!話し合え・・・グヴァ」
「今までの分なんだから甘んじて受けなさい!」
耐えられるはずのない連撃にまたしても意識が朦朧としてくる。
もう謝ろう。
そんなことを思いながらまたしても意識を失った。
目が覚めるとまたしてもソフィアが微笑みながら覗き込んでいた。
「ソフィア、ミラを止めてくれ」
未だにお腹に乗っているミラを止めるためにソフィアに懇願する。
「おはようございます。ミラどうします?リアムがこんなこと言ってますけど」
「私に謝らないで、他の人に頼ろうとするなんて反省が足りないね!」
ミラは少し声を弾ませながら殴ってくる。
謝ろうとするが、殴られている状況では言い出すことができずに、意識を失ってしまう。
目を覚ますとソフィアがいる。
「ごめん!」
ソフィアなど関係なしにミラに謝る。
「むり」
またしても殴られ意識を失う。
目を覚ますとソフィアがいる。
「もう回復しなくていい!休ませてくれ!」
ソフィアが回復しなければこの苦痛から解放される。
もう意識を失ったままで放置してくれた方がマシだ。
「ダメですよ。リアムには死んでほしくないですし、まだ足りないでしょ」
ソフィアが最初と変わらず微笑んでいる。
こんなの女神じゃなくて悪魔だろ。
そんなことを考えながらミラの拳が迫り意識を失う。
目を覚ますとソフィアがいる。
微笑みながら覗き込むように俺を見ている。
「あ、悪魔だ」
「おはようございます。悪魔じゃなくてソフィアですよ」
ソフィアは三日月のような笑顔になっている。
「そんな絶望したような顔しないでくださいよ」
ソフィアは俺の頬をなぞるように触り、顔を近づけてくる。
「リアムの恐怖に染まった顔、とても素敵ですよ」
「ちょっとソフィア、今回は私」
「あぁ、ごめんなさい。でも全部リアムが悪いと思いませんか?」
ソフィアがまたしても俺にヘイトを向けようとしてくる。
「人のせいにするのは良くないぞ!」
この地獄を終わらせるために必死に抗議する。
「確かにリアムが全部悪いわね」
ミラは腰を少し浮かすと、俺のお腹めがけて腰を振り下ろす。
「ほら!私が重いってどういうことだ!言ってみろ!」
「ことば・・・の・・・あや・・・です!」
ミラが俺のお腹の上でバウンドするように動いていてうまく喋ることができない。
「そんな言い訳聞きたくない」
「本当です!ミラは全然重くない!」
「本当?」
俺の腹の上で跳ねながら聞いてくる。
「羽毛のように軽く、どんな手触りのいい小動物よりいいお尻です!」
俺は模範解答を出せたと安心し全身の力を抜く。
「お尻のことなんか聞いてないでしょ!」
最悪の答えを出してしまった俺は、延長された休憩が終わるまで地獄を味わうのだった。
今日も読んでくれたあなたに感謝