第四話 村長の尊重
どうもピースです。
今回は村長視点で書いています。
サブタイトルは個人的な好みでこんなになってしまいました。誠に申し訳ございません。
「ごめん下さーい」
私はこんな夜に誰がきたのだろうと疑問に思いながらドアに向かう。
ドアを開くとそこに、勇者のパーティーメンバーであるミラさんが立っていた。
「どうされました?」
私が知っている限り、勇者以外の三人はとても優しい方々だ。
「少しお話があってきました」
「とりあえず中にお入り下さい」
私は失礼のないようにミラさん家に案内する。
「今、お茶をお持ちいたします」
「大丈夫ですよ。長く居座るつもりはないので」
「そうですか。では、今日はどのような御用件で?」
「明日の朝にリアムがここに訪ねてくると思うので、その内容を裏で聞かせて欲しいのと、村長が話を聞いている時に村長の脳に私達が直接喋りかけるので、私達の代わりにリアムに質問してもらえますか?」
明日の朝は、あの問題のある勇者と話さなければならないのか。
「いいですけど、勇者殿はどのような件で?」
「おそらくですけど、孫娘のシャルちゃんを一晩貸してくれって言うと思います」
「そんなことできません!」
シャルは色々大変なはずなのに真っ直ぐ育ってくれた私の宝だ。
どこぞの勇者などに渡してたまるものか!
「リアムは何もしないと思いますよ」
「それでもダメです!どんな理由があろうと勇者なんかにシャルを任せられません!」
「それはちゃんとリアムの理由を聞いて判断してもらえないですか?」
「ダメです!」
するといきなり机の上に「バン!」と、一冊の本が置かれる。
「なぜそれを⁉︎」
ミラさんが置いた本は私が妻のアイシャに隠して書いている日記だ。
「金庫なんかに入れちゃって、私って隠し事が一番嫌いなんですよねー」
ミラさんは日記を開きその内容を読み始める。
「アイシャに捧げる我が人生」
「ま・・・待ってください!」
「じゃあ、リアムが信用できたら協力してくれる?」
「それはちょっと・・・」
「アイシャから与えられる痛みは全てご褒美ー」
日記の中でも一番恥ずかしいところを読み始める。
「わかりました!私が納得できて勇者が信頼できると思ったら協力します!」
「ありがとうございます」
ミラさんは満足したのか、とてもいい笑顔で日記を返してくれる。
「また明日来るのでその時はよろしくお願いします」
私は悪魔みたいな女が帰ると急いで部屋に戻り日記を金庫にしまう。
「疲れた、もう寝よう」
私は明日のことを考え早めに眠りについた。
今日は勇者が訪ねてくるので、いつもより早めに起きて朝のコーヒを飲む。
「ごめん下さーい」
昨日悪魔の所業を犯したミラさんがやってくる。
「おはようございます」
今日はミラさんだけでなく、アリスさんとソフィアも来ていた。
「今日はよろしくお願いしますね。ちゃんと指示通りにしてくれればアイシャさんには何も言いませんので」
「わ、わかりました」
ミラさんが指示通りにしなければ、ばらすぞと遠回しに脅迫してくる。
「どうぞ、お入りください」
三人にはリビングの隣にあるキッチンに隠れてもらい勇者が来るのを待つ。
「ごめん下さーい」
しばらくすると勇者の声が聞こえてくる。
「おはようございます。勇者殿」
「リアム来たんだね」
頭の中にミラさんの声が聞こえてくるが、勇者との会話を続ける。
「報酬の件でお話しに来ました」
「とりあえずお入りください」
「はい、お邪魔します」
「無駄に丁寧で気持ち悪いわね」
今度はアリスさんの声が聞こえてくる。
「そちらにお座りください勇者殿」
「朝早くからすみません」
「ふぁーぁ、全くですよ」
ソフィアさんは朝が弱いのか、たまにあくびが聞こえてくる。
「大丈夫ですよ、今お茶をお持ちいたしますね」
お茶を取りに行くとミラさんが既に用意していたお茶を渡してくれる。
「改めて今日はどのような件でいらっしゃったのでしょう?」
「先程も行った通り報酬の件で話をしたくて来ました」
私はその後も三人からの脅迫を受けながら、勇者に質問をしていった。
私が最後に言えるのは、勇者殿よりも仲間の三人の方がよっぽど悪魔だったことだ。
最後まで読んでくれたあなたに感謝