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第二話 ビールが沁みる

どうもピースです。

思った以上に読んでくれる人がいて感謝と共に驚いています。

基本一日一話ですが、前回のだけではキリが悪いのでもう一話投稿させていただきます。

「なんで酷いこと言うのかしら?」


 アリスが俺に向ける視線は、侮辱などではなく本当に疑問を抱いているようだった。


「お前らが邪魔だって何度も言ってるだろ」

「それは理由になってないじゃない、何が邪魔をしているのか聞いているの」


 そんなこと聞かれたって答えられるような理由はない。

 理由はただ一つで大切な人に死んでほしくないという気持ちだけだ。


「お前のそういうところが気持ち悪いんだよ。ちょっとお高いところから俺に理由やら説教を垂れてくるお前が嫌いなんだよ」


 これはアリスのいいところだ。

 俺がクズな行動をするたびにアリスはきちんと叱ってくれた。

 俺はクズな行動をしていくうちに、自分の善悪の感覚が麻痺ってしまわないか不安で仕方なかった。

 しかし、仲間がそしてアリスが積極的に俺を見捨てず叱ってくれたおかげで、今していることはダメなことなんだと認識することができた。

 何より悪いことをした罪悪感を叱られることにより少し気持ちが楽になる気がした。


「叱られなくなったら終わりだと思わないの?」

「叱られると思うよなことしてないんだからこっちは機嫌がわりぃんだよ。意味わかんないことでぐちぐち言われる筋合いがねぇだろ」


 本格的に自分が勇者か魔王かわからなくなってきているがここで認めてしまったら今までの追放計画が台無しになってしまう。


「そう」


 アリスは右手をあごにあてて何か考えている。


「そうじゃねぇだろ。全員パーティを抜けてもらうから、お前も早くどっかに消えろ」

「そうしようかしら」


 アリスの言葉を聞いて、心の中で寂しいと感じながらもホッとしていた。


「魔王を倒してからね」

「なんでそうなんだよ!お前はよくても俺がよくない!」

「なんでそこまでこだわるのかしら。もしかして、私達がいると困ることがあるんじゃなくて?」


 核心を突くような発言に思考力は奪われていく。

 思ってもいない言い訳を考えるのは精神をすり減らし、そこに動揺も加われば大きな負担となる。

 全くうまくいかない計画にやけになり始めた俺は空になったビールの器を見ながら、解決策を考える。


「黙って俺の言う事を聞け!」


 アリスに恐怖を与えこんなパーティにいたくないと思わせるため、テーブルをひっくり返えす。

 両手で丸いテーブルの淵持ちアリスに襲い掛からせようとテーブルを持ち上げるが、テーブルが少し浮いたところで止まってしまい動かなくなってしまう。

 

 アリスの方を見るとアメジストのような綺麗な紫色の目が光り輝いており魔法を使いテーブルを止めている。

 そのせいで、アリスに襲い掛かろうとしていたテーブルは力を失い大人しくなってしまった。


「人にやられて嫌なことはしてはいけないと言わなかったかしら?」


 アリスはビールを運んでいるウェイトレスからビールを引ったくるとこちらにビールをかけようとこちらにコップを向ける。

 俺もソフィアにやっといてなんだが、濡れるのは嫌なのでビールの軌道上から避けようとする。

 しかし、再びアリスの目が輝き始め、当たるはずのないビールが俺の顔に吸い寄せられるかのように不規則に軌道を変る。

 その結果避けることができずに顔面に大量のビールを浴びてしまう。

 

「テメェなにしやがる!」


 俺は冷たーと思いながらも声色は怒らせる。


「あなたには色々と叱り足りないと思ったわ。少しそこに座りなさい」


 俺のことなどお構いなしにアリスは淡々と命令する。


 命令に従うのはクズ勇者としての誇りが損なわれるが、気持ちを落ち着かせるためにも席に座ろうとするが・・・

 座る直前に魔法で椅子を引かれ地べたに尻もちをつく。


「椅子に座れと言ってないわよ。そこに正座しなさい」


 アリスが指す先には先程ソフィアにかけた時にできたビールの水溜まりがある。


 俺はアリスが本気でキレていることに恐怖していた。

 いつもは何がいけないのか説明するように叱ってくるが、今は目が光り輝いており体から魔力が溢れ出している。


 魔力と目は密接な関係をしているため、魔力を使う時に目が輝き始める。

 その輝きの強さは魔力の質によって変わると言われている。


「気持ち悪い魔族ハーフが早く出ていけ!」


 少し抜けた腰を立ち上がらせ、アリスに捨てゼリフを吐く。

 アリスは俺が勇気を振り絞って言ったセリフ中ずっと瞬きもせずに俺を見つめている。


 いや怖すぎだろ・・・。

 

 俺は一刻も早くこの場から離れるために酒場の扉を目指し始める。

 アリスが怖いのはもちろんだが、顔に掛かったビールが乾いてしまったら半泣きしていることがバレてしまう。

 

「私から逃げられると思わないことね」


 扉に向かう途中アリスがさらに恐怖を与えるような声が聞こえてくるが振り返ることはできない。

 なぜなら俺が扉をくぐるときにはビールのせいで涙が頬を伝っていたかもしれないからだ。


「ちゃんと勇者してるじゃない」


 アリスはリアムが出て行った後、呟くようにリアムのことを誉めていた。

 

 アリスの魔力を浴びでここまで気丈に振る舞えるリアムの精神力は間違いなく勇者といえるのであった。

最後まで読んでくれたあなたに感謝

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