第十八話 寝れなくなった夜
どうもピースです。
自分に不幸なことが起きたとしても、その悲劇を笑い飛ばし喜劇にできるくらい心が満たされていたいですよね。
ミラとアリスに軽く拷問を受け、ソフィアとの出来事を洗いざらい吐かされた。
「リアムはソフィアとキスしたんだ」
「俺はそんなつもりなかった!」
「犯罪者はみんなそう言うわよ」
アリスの中で俺は犯罪者になってしまったらしい。
「しかもほっぺじゃないか。由緒正しきキスじゃない」
由緒正しいキスなど聞いたことないが、どうにかはぐらかす。
「由緒正しきキスって何よ。ベロを濃厚に絡め合うやつかしら」
アリスは舌舐めずりをしていて非常に色っぽい。
「違うよ、相手の力が入らなくなるくらいふにゃふにゃにするんだよ」
ミラにキスをされる男はふにゃふにゃになってしまうだろう、可哀想に。
「どっちも違うわ!感情的にお互い求めあうことが、正しきキスだ!」
「男ならキスは奪うものとか言いなさいよ」
「リアムはヘタレだから奪われる側だね!」
「うるさい!もう寝る!」
「恥ずかしがっちゃってー」
これ以上ここにいてもからかわれるだけなので、自分のテントに向かう。
テントの中に入ると布団をアイテムボックスから取り出し、寝っ転がる。
今日起きたことを整理しながらも、疲れから意識がだんだんとなくなってくる。
もう少しで寝れそうな時にテントの入り口から月明かりが差し込む。
「誰だ?」
「私だよ」
ミラは仰向けに寝ている俺の上に乗っかると、抱きついてくる。
「ど、どうしたんだ?」
ミラの魅力的な体を押し付けられ眠気が一気に吹っ飛んだ。
「もういいかなって思うの」
俺のことを上目遣いで見てくる。
「何かだ?」
「これまで我慢してきたけど、もうリアムと和解したことだし」
ミラが勿体ぶるように言葉を止める。
俺は聞き逃すまいとミラの口元を見ながら耳を傾ける。
「していいよね」
脳内にミラの言葉がこだまし、幸福感が溢れてくる。
していいよね?つまり俺は童貞を卒業するってことだよな?
今までは童貞のまま死んで俺の人生を悲劇ではなく喜劇にしてやろうと考えていたが、世界は俺を見捨てていなかった。
「いいに決まってるだろ、俺も初めてだから緊張するな」
「私だって初めてだから緊張する」
頬を染めながらミラがキスをしようと近づいてくる。
「恥ずかしいから目瞑っててよ」
「恥ずかしがり屋なミラは可愛いな」
普段はこんなこと言えないがこんな雰囲気なら俺も恥ずかしがらずにミラに伝えられる。
そして俺は目を瞑りミラがキスをしてくるのを待った。
最後まで読んでくれたあなたに感謝




