十七話 本当の仲間
どうもピースです。
今日という日が必死に欲しかった人たちに、自信を持って今日を生きたと言えるような人間になりたいですよね。私にはまだ難しいです。
「ちゃんと理解したわね?」
アリスが少し微笑みながら聞いてくる。
「もう自分勝手な行動しないよ。困ったことがあったらアリス達に相談する」
「じゃあまたリアムしか倒せない敵が出てきたらどうするの?」
「アリス達に相談して解決策が無ければ、俺だけで倒しに行く!」
俺は一方通行の優しさを押し付けていた。
だがそれは間違っていてただの自分勝手な優しさだった。
まずは解決策がないか相談し、仲間を頼る。
それでも無理なら俺が死んででも彼女達に絶対に生きてもらう。
「いいわよ。私達はあなたにそんな事させないために強くなったから。私も逆の立場になったら、気絶させてでもあなたに生きてもらうから」
アリスは挑発的に笑いながらもどこか嬉しそうだ。
「私達はあなたに助けられたわ。今度は私達があなたを助けてあげる」
「相変わらずアリスが一番優しいよね」
「本当にお人好しです」
「あら、文句でもあるの」
「ないよー」
ミラがおどけるように流す。
「それにしてもリアムがいなくなってからの五年間、めちゃめちゃ頑張ったんだよ」
「あなたがくれた平和な日々は、私達にとって無駄にできない時間でしかなかったわ」
「確かに大変でした。人は死ぬほど頑張っても案外死ねないものだと知りました」
各々が思い出に耽っている。
「何度も言うけど、俺にできることならなんでもするよ」
俺がしたことを償うにはこれしか方法はないだろう。
「じゃあ、結界張るので見張りはいいですけど、明日の朝私のこと起こしてください」
「わ、わかりました」
なんか雑用みたいな使われ方してない?
「魔王討伐の時は私達の邪魔にならないよう端にいてね」
「いなくてもいいくらいよね」
「流石に俺もいた方がいいだろ」
三人と実力差はあるが戦力外になるほどではないはずだ。
「私が全力で魔力出したら動けなくなるわよ」
「たかが魔力でそんな事ないだろ」
「たかが魔力ねぇ」
アリスの魔力で周りの色が変わり始める。
すぐにアリスの魔力が伝わり体に力が入らず息ができなくなる。
「ほら無理でしょ」
アリスが魔力を抑えて話しかけてくる。
すぐに答えられないためゆっくりと深呼吸をして息を整える。
「はぁ、はぁ、無理でした」
「端っこで大人しくしてるなら一緒に来てもいいわよ。どうする?」
「端っこでおとなしくしてます」
アリスに圧倒的な実力差で黙らされてしまった。
「じぁあ、方針は決まりですね。みなさんまた明日」
ソフィアはもう眠いのかあくびをしながらテントに入っていく。
「そういえばソフィアを襲おうとしたらしいね。今回のリアムだけだよー。なんで?」
ミラがにっこりと首を傾げている。
ここで冗談を言ったら間違いなく死人が出るだろう。
主に俺の・・・
「あれ、あれは追放するために仕方なくやったことだぞ!」
本当のことだがなぜか声が裏がってしまう。
「ほんとかなー?」
「嘘じゃない!」
「何もなかった?」
ミラの質問にソフィアから頬にキスをされたことを思い出す。
「その反応は何かあったわね」
「やっぱりアリスもそう思うよね!ソフィア何か隠してたよね!」
二人が目を合わせると俺に嗜虐的な笑みを向け近づいてくる。
最後まで読んでくれたあなたに感謝




