第一話 お前らなんか追放だ!
どうもピースです。
興味本位で書いた小説ですが、楽しめる所を見つけてくれると幸いです。
俺は今日一緒に旅をしてきた仲間を追放する。
仲間は幼馴染の剣士ミラ、魔族と人間のハーフの魔法使いアリス、エルフの僧侶ソフィアがいる。
ミラは黒髪に赤目、アリスは白髪に紫色の目、ソフィアは金髪に青目といった俺的三大美女の3人だ。
最初は魔王を倒した後に全員同時に呼び出してダメ元で告白をしようとしていた。
しかし、これから魔王を倒しに行くのに俺達では勝つことはできない。
魔王の影響で強大化した魔物ですら苦戦し、時には引くことがある。
そのためこれまでの旅では仲間を追放するためにわざとクズな勇者を演じてきた。
クズな勇者なんで演じたくなかったが、馬鹿正直にお前らが死んでほしくないからパーティーから抜けてくれと言ってみろ。
俺を監視するためトイレですら一人で行動することができなくなる。
正義感の塊みたいな仲間を追放するにはこれしか思いつかない。
追放できなければ仲間が死ぬ。
「よし、お前ら集まったか?」
俺は村の酒場に仲間を集め、傲慢な雰囲気を出を出しながら喋る。
「お前ら全員俺のパーティから出て行け」
仲間から冷めた視線を送られている。
「なんで?」
幼馴染のミラが俺の目を見つめながら聞いてくる。
「俺のやることに文句の言うクズはいらねぇんだよ。俺は勇者だぞ、俺のやることは全て正しくそれが正当化される。なのにお前らは俺に楯突くからな。そんなクズは邪魔なんだよ」
これがこの三年間積み上げてきたクズ勇者の仮面だ。
違和感のないように一つ一つクズを積み上げていった俺の努力の結晶でもある。
「へー、リアムは私が楯突くって知ってるのに追放なんかできると思ったんだね」
ミラはその赤い目で俺を見つめながら的外れなことを言ってくる。
「はぁ?お前何言ってんの?」
俺は想定と違う展開に少し動揺しながらも「俺の三年間で積み立てたクズはそう簡単に剥がれん!」と心の中で馬鹿なことを思いながら聞き返す。
「リアムは出てって欲しいっぽいけど、私楯突いちゃうから出ていけなーい」
馬鹿にしたような口調で俺を煽りながら酒場を出て行こうとするミラ。
「このクソヴァンパイア!お前がいると邪魔なんだよ!」
俺は声を荒げながら出て行こうとするミラに叫ぶ。
もちろんミラはヴァンパイアなどではない。
実際にヴァンパイアは、血を吸うときだけ目が赤くなるため、目の色が一緒であることは違いない。
そのため子供の頃に、「ヴァンパイアみたい」とミラに言ってしまったことがある。
それを聞いたミラは泣き出してしまいそれ以降言わないようにしてきた言葉だ。
暴言を聞いたミラは両扉の前で立ち止まりこちらに少し体を向ける。
「本当にクズだね」
無表情にそんな言葉を呟きミラは酒場を出ていってしまった。
俺はミラが出て行った扉の方を見ながらアリスとソフィアに聞こえるように喋り始める。
「あいつドマゾかよ、俺に邪魔って言われてんのに出て行かないとか馬鹿だろ。でも、俺のパーティに残るなら剣の練習がてらボコボコにしてやるか」
このパーティに残ってもろくなことにはならないとアリスとソフィアに伝える。
「私たちが残ったらどうするんですか?」
エルフのソフィアが試すような目で聞いてくる。
「お前らは出てけよ」
俺は少しイラついた感じを出しながら言葉を続ける。
「もしもエルフが残るなら、その体を使って壊れるまで楽しんでやるよ。魔族ハーフが残るなら魔法の練習するための俺の魔法を受けるカカシにでもなってもらうおうかね」
こんなクズ勇者死んでしまえ!自分で自分をツッコミながら、何回も練習した極悪非道な笑みをソフィアに向ける。
「なぜソフィアだけ酷い扱いをするのかしら?」
アリスが少しイラつきながら尋ねてくる。
「エルフだったら妊娠の確率がほとんどないからに決まってるだろ。そんなことも考えれないのかよ魔族ハーフは」
俺は隙があれば相手を煽るという、もはや習慣とかしてしまった自分の言葉に呆れながらも感動をしていた。
「私可愛いとか綺麗ってリアムに言われたことないです」
ソフィアはミラ続けてこの場に的外れなことを言い始めた。
「可愛いとも綺麗とも思ったことがないからに決まってるだろ」
「じゃあ私の体を使おうとするリアムは馬鹿ですね」
俺は馬鹿に反応し、心の中で「追放チャーンス」と言いながら片手に持っていたビールをソフィアに浴びせる。
「黙れ」
底冷えするような声を出し、ソフィアをにらみつける。
なお俺の心の中では、心の天使が悪魔を「なにしとんじゃわれ」とボコボコにしている。
「あーあ、洋服が汚れちゃいました。私お風呂に入ってきます。」
ソフィアは濡れた洋服を肌から離すように引っ張り、酒場を出て行こうとする。
「お前は俺に対する態度がなってないからな、お風呂で心までしっかり洗ってこいよ」
最後までしっかりとクズ勇者を演じソフィアが酒場を出ていくのを見届けるのであった。
最後まで読んでくれたあなたに感謝