no-go-ru
ガーン、ドゴーン、バリーン。騒音が鳴り響く。その音はカズヤの耳にも十分過ぎるほどと届いた。
目の前にいた得体のしれない男は視界から消えていた。
「なんなんだ…!?」
カズヤは驚きを隠せない。公園は比較的高台にあるため、隣町の様子はよく見える。隣町に火があがっていた。遠すぎて煙しか見えないが、あれは田舎の焚き火なんてもんじゃない。間違いなく火事だ。周りを見ると、スマホで消防車を急いで呼んでいる人がいた。
「早く火の手が上がっていますっ!!」
その人は急いでどこかへ行ってしまった。
カズヤもその声を聞いて我に返った。先程の男の事を思い出したのだ。
あの男、消える前に何か言ってなかったか…!?
そういえば、この星がどうたらこうたらとか…
カズヤはさらに疑問に思う。何故、火事の前に大きな破裂音がしたのか。考えながら公園のベンチの周りを歩き回っていると、さらに驚愕する出来事が起きた。火事が収まっている。消防車のサイレンがまだ聞こえてもいないのに…。
煙も徐々に消え、いつの間にかいつも通りの景色になった。そしてカズヤは肩を叩かれた。慌てて振り向くと、先程の男がいた。
「ギリギリ間に合ったヨ」
男は言った。さすがのカズヤも口を開けずにはいられなかった。
「あんた、一体何者なんだ!? 」
「それを話すには少し…」
男は周りを見た。火事を見物に来た人達が公園に集まっていた。
「あれ、火事じゃあなかったの?」
「なんかすぐ収まったらしいよ」
人々も予想より早く火が収まったことに困惑しているようだ。
「場所を変えよう」
男は言って、カズヤの手を引き走り出した。家と反対の方向に。
そして、住宅街に入り、誰もいないことを確認して男は胸に手を当てて言った。
「しっかり掴まってろよ」
カズヤが声を出そうとした瞬間、景色が変わる。
いつの間にか森の中だった。カズヤは驚いたが、この森は知ってる、と思った。それもそのはずこの森はカズヤの地域の泉佐山という山の中の森である。カズヤは昔この森でよく遊んでいたため、例え木しかなかろうと、この森は分かる。しかし、今はそれどころではない。この男からは聞かなければならないことがある。男は目の前の倒れた木を椅子にして座っていた。
「しっかり聞いて欲しい、実は…」